僕はその人と結婚した
羽弦トリス
第1話演劇部の面々
ここはある都市のK高校演劇部。
今日も演劇部の人間は、台本を手掛ける部長の井口大和の話で始まる。
井口は学年でトップクラスの学力の持ち主である。
井口の台本は、殆どハリウッドからヒントを得ているのか?海外の映画に真似た作品ばかり書く。
「これが、前半までの台本だよ」
次回の地区大会の主題はバベルの塔だった。それに、部員は文句を言う。
「やい!部長。そんな恥ずかしい台本で、演じるこっちの気持ちにもなってくれよ!3年は引退して、1年生は誰も演劇部に入ってこないのは、お前の台本が悪いからだ!」
と、鼻息荒く喚いているのは、武田誠。この男は、自分をクレバーな男だと信じる馬鹿だ。
「そうだ!そうだ!3年はずっと、ドリフの8時だョ!だったじゃないか!ギャグ路線で行こうぜ!」
そう、武田を援護するのは、元木和弘。
武田と元木は中学からの同級生で、2人の絆は強い。
「私は、バベルの塔でもいいよ!もっと、部長の気持ちにもなってよ!半分台本書いてやり直しはかわいそう」
珍しく部長の井口を擁護するのは、半沢ゆいな。この女子はメガネを外したら、相当かわいいのだが、コンタクトは怖いのでメガネっ子。巨乳だ!
「そうよ!クソ男!じゃあ、あんたらが台本書いたら?」
と、男子をクソ扱いするは、男嫌いで有名な亀山芽依。
「ふぁぁ〜、どうでも良いよ!オレは」
ブッ!
「臭っ!屁なんかこくなよ金谷」
不貞腐れて、屁をこくのは金谷和馬。こいつは、男子部員の中で唯一、異性の性器を見た事がある。モチロン、エロ本で。兄のお下がりをオカズにシコシコしている。
「まぁまぁ、もう少し冷静に皆んなで意見を出しあおうよ!」
と、まとめるのは神田竜太郎。
神田は、いつも部員のなだめ役。この男子がいるからK高校演劇部は持ち堪えているのだ。
全員2年生部員なので、意見を譲らない。
「じゃあ、お前らが台本書けよ!」
と井口が言った。
「何だと!井口。それは、オレ達への宣戦布告か?よしっ、良いだろう。な?元木」
「……お、オレは永世中立国だから」
と、武田の誘いを断った。
「フンッ!裏切り者めっ!」
「マイフレンドよ!じゃ、金谷!オレと組んで台本書こう!」
「誰がお前と書くか!」
「何だと?お前はこのままだと、天使の役だぞ!それで良いのか?男だろ?」
「どぅでも良いよ」
ブリッ!
「金谷、その屁はオレに対しての裏切りだな?」
「うるせぇな。バカ!」
「何だと!金谷」
「ぺっ」
ドゴッ!
武田は金谷を殴った。
金谷は鼻血を流しながら、
「どうでも、良いよ」
「さぁ、武田。オレに対しての反逆者は、お前しかいない。まだ、戦うのか?」
井口はいやらしく、笑みを浮かべた。
「当たり前だ!守れ職場は我が陣地!明日、台本持ってきてやる!馴れ合いは終わりだ。ホントはお前らが大嫌いだったのさ!バーカ!明日、待ってろ」
と、武田は教室を出て言った。
この時、皆んな恋愛感情なぞ見え隠れもしていない。
金谷は、鼻にトイレットペーパーを詰めていた。
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