異世界に潜行せよ

@12{アイニ}

Encounter 〜出会い〜

1,Reincarnation 〜転生〜

 1年前、俺は横須賀市南部にある(日米合同で教育している)とある教育機関を首席で卒業した。

 卒業してから俺は半年近くもの間、日本の太平洋港湾地帯にある世界屈指の造船所で馬車馬のように働かされていた。給料は残業代なしの手当15万円だけ。勤務時間は、明朝04時30分から昼休憩を挟んで、午後23時15分までというブラック企業だ。

「--また手取り15万以下かよ。全く、泣けてくるぜ・・・」

 そしてトボトボ帰路につき、自宅のアパートまで帰ってきてストレス発散となった某海戦PCゲームに身を投じる。

「--なんで、空母の艦載機に見つかるんだよ!! ああもう!(バンッ!)駆逐艦にも見つかったじゃねぇか!!味方、クソ雑魚すぎだろ! ランクマランクマッチの略にくるんじゃねーよ、カスが!!」

 仕事でのストレスも相まって、自身のミスを他人に押し付けていたら、ゲームの運営からメールが来た。

「はあ!? なんで、俺がサーバーから3ヶ月もBANされなきゃいけねぇんだよ!!」

 悪態をつきながら、近くに置いていたベッドに寝転がった。

「このクソ人生にサヨナラしたいよ・・・」

 すると、何処からかわからないが声が聞こえた。その声の主は、『--じゃあ、異世界で第二の人生をエンジョイしてみたくないかな?』と言った。

「なんか聞こえ--いや、気のせいだな。 深夜27時に聞こえるはずも無いし・・・」

 そしてそのまま意識を睡眠に投じた。

〜〜〜〜〜〜

 次に目を覚ますと、天井がなかった。代わりに、雲海うんかいが辺りに広がって奥に女性が立っていた。

 気配からわかる、この女性は女神か神様なのだろうと。

『ふふふ、目が覚めましたか?』

 声を出そうにも出ない。オロオロしていると、『あ、声は大丈夫ですよ。心を直接読むので』と言った。半信半疑だったが、それは本当だと認識した。

『それで、話を説明をさせていただいても?』

 俺は頷いた。

 すると女性は、長々と説明を始めた。まぁ、話の内容は、俺の人生経歴をはじめから見ていて軍人の元関係者というとこまで見ていたが、元々の管理していた別の世界で大戦が起きたため、新たに人材を求めていたらしい。

 そこに白羽の矢が上がったのが、深夜に暴言を吐いて「このクソ人生にサヨナラしたいよ」と言った俺だった--そういう訳らしい。

『少し失礼・・・』そこまで説明した女性は目を閉じて反応をしなくなったかと思えば、瞼を開けて慌てた様子で『--貴方の名前は、何ですか?』と問いてきた。だから俺は、自分の名前を教えた。

『わかりました。では、貴方に今一度問います。貴方は、大戦を終わらせられる力を得て平和を構築させてくると誓いますか?』

 これには少し考えた。なぜなら、戦争が起きた経緯を知らされていない。それに、力と言われても、俺は軍学校時代に得た知識とゲームで得た知識しか無い。そんな俺で、ナニができるのか。

 それに・・・。

『大丈夫ですよ、私から少し贈り物をします。基礎体力の向上および記憶力の向上、そして貴方の世界にしか無い〝大型潜水艦〟を提供します』

 大型潜水艦・・・そんなものが地球にあったけ?いや、あったじゃないか、旧日本海軍所属のあの潜水艦が!

 俺は、意を決して頷き笑顔を見せた。途端に喉が開く感覚がした。

「--大丈夫、必ず俺自身の人生を終える時が来るまでに平和にしておきますよ(ニカッ)」

 女性は俺を見ると、安堵したのかなごやかに笑った。そして、転生アニメで見慣れた転送陣を起動させた。

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