令歴645年5月11日 LINEグループ『大化』

◀ 『大化』(メンバー数:4)



       【5/11(土)】



藤原「こんばんは。たいへんお待たせして申し訳ございません。例の件の基本計画がようやく纏まりました。」


中大「おう、遅かったやないか」


藤原「すみません。諸々、準備に手間取りましたので。」


佐伯「いや、あの、今更なんですけど、ホンマのホンマにやるんですか?」


葛城「今ならまだ間に合うんで、やっぱり考え直したほうが……」


中大「アホ! お前、ここでやらんかったら、このまま永遠に入鹿の天下やないか! あんな頭の悪い横柄な奴が威張り散らしとる世の中で、この国の政治が良くなるわけあらへんやろ!」


佐伯「いや、ゆーてアンタも大概アホで横柄ですやん……」


【佐伯がメッセージの送信を取り消しました】


中大「いま何か言うたか?」


佐伯「すみません。またスタンプの誤送信です。なんか最近スマホの調子が悪いみたいで」


葛城「しかし、こんな大それた計画の話を、LINEなんかで話して大丈夫なんですか? ふつう、直接皆で集まって話すべきじゃないですか?」


藤原「いやむしろ、我々が一所に直接集まるほうが、かえって怪しまれる。」


佐伯「いつもみたく、蹴鞠の集まりという建前にすればええんとちゃいます?」


藤原「人目につく法興寺の境内で、蹴鞠しながら堂々とクーデター計画の話をしろと?」


葛城「まあ確かに……変に密室でコソコソ集まるのもアレですしね……」


藤原「安心しろ。LINEのサーバーは高句麗にあるし、国内でハッキングされる可能性は極めて低い。それに、もしバレるものなら今頃とっくに我々の首は胴体と繋がっていないはずだ。」


葛城「流石に俺も最近、フリーWiFiとか怖くて一切使えなくなりましたよ……」


中大「ん? なんでフリーWiFi使うたらあかんのや? 俺普通に使っとるで?」


葛城「お、皇子……」


佐伯「俺たちの首が今繋がっているのは、まさに奇跡や……」


藤原「皇子。今後、屋外で暗号化されていないフリーWiFiの使用は止めて下さい。」


中大「なんかよう分からんけど、まあええわ。了解」


藤原「では、これより計画の概要を説明します。ですがその前に、ここで1人、新たに我々の計画に加わる仲間を紹介したいと思います。」


葛城「な、仲間!?」


佐伯「そんな、言うてる尻から、情報漏洩のリスクを背負うようなもんやないですか!」


中大「おう、そいつホンマに大丈夫かいな」


藤原「大丈夫です。信用に足る人物である事は、私が保証します。それでは今から、当グループに新たなメンバーを招待します。」



【藤原が、蘇我倉山田石川麻呂そがのくらやまだのいしかわまろをグループに招待しました。】




蘇我倉山田石川麻呂そがのくらやまだのいしかわまろが、グループに参加しました。】



蘇我倉山田石川麻呂「ども。蘇我倉山田石川麻呂です(^ω^)よろ」


佐伯「そ……」


葛城「蘇我!?!?!?」


中大「またコイツもやたら名前長いやんけ」


佐伯「いや、気にするとこ、そこちゃうでしょ!」


葛城「蘇我って、完全に敵じゃないですか! なんでこんな人仲間に入れたんですか!」


蘇我倉山田石川麻呂「ぷるぷる。わし、悪い蘇我氏じゃないよ(´;ω;`)」


佐伯「仲間になりたいスライムみたいな言い方やめーや!」


藤原「改めてご紹介します。かの嶋大臣・蘇我馬子殿の孫であり、現在は朝廷の倉の出納、貢納の収受などの要職を担っておられる、蘇我倉山田石川麻呂殿です。」


蘇我倉山田石川麻呂「よろちくび(^_-)-☆」


佐伯「キャラ強すぎやろ……あと絵文字のウザさが一々半端ない……」


葛城「いや、てかこの人確か、蘇我蝦夷の甥で、蘇我入鹿の従兄弟ですよ!? 暗殺対象の身内を仲間に入れるって鎌足さん、一体どういうつもりですか!?」


藤原「安心してくれ。蘇我倉山田石川麻呂殿は、蘇我一族といっても傍系。それにご息女である遠智娘おちのいらつめ様は、中大兄皇子の妃だ。」


蘇我倉山田石川麻呂「@中大 あ、皇子、娘がいつもお世話になっております(^^♪」


中大「まあ、俺の妃って何人もおるから、あくまでその内のひとりやけどな。ぶっちゃけあんま全員の顔と名前まで覚えてない」


佐伯「ひでえ……」


藤原「蘇我倉山田石川麻呂殿と蘇我本家は、同じ蘇我でも犬猿の仲。このたび我々の計画に賛同頂き、仲間に加わって頂く事になった。誰よりも敵を知る味方として、まさに、心強い事この上ない人物だ。」


蘇我倉山田石川麻呂「@藤原 そのかわりにクーデターが成功したらわしを右大臣にしてくれるって約束、よろしく頼むんだ!(^○^)☆」


藤原「勿論です。宜しいですよね、皇子?」


中大「んーまあその辺は正直ようわからんから、お前に任せるわ。好きにやってくれや」


藤原「ありがとうございます。」


中大「しかしな……」


藤原「何か問題が?」


中大「名前が長い」


佐伯「いや、まだそこ、こだわってはったんですか!?」


中大「蘇我とか山田とか石川とか、どれが苗字かわからへん。蘇我やと色々ややこしいから、お前、表示名『山田』にせえや」


蘇我倉山田石川麻呂「了解です!(`・ω・´)ゞ」


【蘇我倉山田石川麻呂が、名前を『山田』に変更しました。】


山田「どうも! 蘇我倉山田石川麻呂改めまして山田です! みんな気軽に山ピーって呼んでくれてもいいよ!(ゝω・)☆」


佐伯「もはや不安要素しかあらへん」


葛城「それな」


藤原「では、山田殿の紹介も済んだ事ですので、これより蘇我入鹿暗殺計画の概要を説明いたします。」


中大「おう。やっとか。もうぼちぼち日付変わるけど、まあええわ。今日は土曜日やし、夜更かししたる」

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