令歴645年4月18日 LINEグループ『蹴鞠会in法興寺』
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【4/18(木)】
葛城「誠に申し訳ございません」
葛城「コロナ陽性になりました……」
葛城「明後日の蹴鞠会、とても楽しみにしていたのですが、参加できそうにありません。申し訳ございません……」
中大「教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育」
葛城「申し訳ございません。今後体調管理徹底します……」
中大「この、ハゲー!! ホンマ使えん奴やな!」
葛城「お詫びの言葉もございません……」
藤原「蹴鞠、普通は4〜8人でやるスポーツなので、メンバー3人だと流石に厳しいですね。いかがいたしましょうか。」
中大「誰か代わりに来れる奴、おらんのか!」
佐伯「そういや風の噂で、大臣の入鹿さんもめっちゃ蹴鞠好きって聞いた事ありますわ。ご多忙やと思いますけど、ダメもとで誘ってみます?」
中大「ハア〜〜〜!? 入鹿ァ〜〜〜!?」
藤原「おい佐伯子麻呂、やめろ」
佐伯「えっ、僕なんかマズい事言うてしまいましたかね?」
中大「@佐伯 お前、俺が入鹿の事死ぬほど嫌ってるの、知ってて言うとんのか? ナメとんのかお前? ああ!?」
佐伯「そ、そんな、滅相もない。知らんかったんです。申し訳ございません!」
中大「もっぺん俺の前でその名前出してみい、口ん中に蹴鞠そのまま突っ込んだるからな! 覚えとけカス!」
佐伯「申し訳ありませんでした! 肝に銘じます!」
中大「そもそも俺が次の大王になれへんのはなあ、全てあのボケ入鹿が、この最も高貴なる血統の俺様を差し置いて、ボンクラの古人大兄皇子を担ぎよるせいや! ほんでもって最近は何やあいつ、豪族の分際で大王よりも偉そうにしやがってからに!」
葛城「確かに。入鹿さん、LINEのVOOMとか隋ッターでも近頃めっちゃイキった投稿ばっかしてますもんね」
佐伯「まあアレは正直、僕もけっこうイラっとしますわ」
中大「俺、入鹿に隋ッターブロックされてるから見れへんのや!」
葛城「すみません」
中大「しかも聞くところによると最近、入鹿の野郎は自分の子供を『王子』とか呼ばせとるらしいやないか! 思い上がりも大概にせえっちゅうねん、何が王子やねんふざけた名前つけやがってホンマ」
佐伯「あんた、自分の事『王子』って名前付けてましたやん」
【佐伯がメッセージの送信を取り消しました】
中大「いま何か言うたか」
佐伯「いえ、ちょっと間違えてスタンプ送っちゃいました」
中大「あーホンマ思い出しただけでイライラしてきたわ! いい加減ぶっ○したろか入鹿の野郎! あー○してえ!」
葛城「皇子、落ち着いてください」
藤原「いっそ、本当に殺してしまいませんか?」
中大「え?」
佐伯「な、何言うたはりますの鎌足さん」
葛城「突然どうしたんすか」
藤原「だから、もうこのさい蘇我入鹿を、本当に殺してしまいませんか。かくいう私も山背大兄王を死に追いやったあの男の専横ぶりには並々ならぬ怒りを覚えておりましたので。」
佐伯「や、流石に冗談ですよね?」
葛城「いつもの冷静な鎌足さんらしくないですよ! 熱でもあるんじゃないですか?」
佐伯「@葛城 コロナで熱あるのはお前や笑」
葛城「そうだった笑」
藤原「私は本気ですよ。真剣です。」
藤原「ここで愚痴を言っているだけでは、歴史は動きません。」
藤原「一度、具体的な計画を皆で話し合いませんか。」
藤原「行動するなら、今だと思います。」
藤原「皇子。いかがですか。」
佐伯「ちょ、ちょっと鎌足さん、流石に悪ノリが過ぎますわ!」
葛城「そうそう! 話題が急に不穏すぎますって! 皇子もほら、何か言ってやってくださいよ! このLINEグループ、別にテロリストの集会なんかじゃなくてただの蹴鞠サークルなんですから!」
佐伯「皇子かてほら、まさか本気にしてませんよね?」
中大「処そか」
佐伯「え?」
葛城「え?」
中大「鎌足お前、たまにはエエ事言うやんけ。伊達に俺と学生時代からの長い付き合いなだけあるわ」
中大「せや。LINEで愚痴ばっか吐いとっても仕方あらへん。確かに、歴史を変えるのは行動だけや。やろう。やったろやないか。入鹿の首、俺らで取ったろやないか」
藤原「ありがとうございます。必ずや、皇子ならそう言ってくださると信じておりました。」
佐伯「いやいやいや! これマジでアカンやつですって!」
葛城「そうですよ! 向こうは大臣、今やこの飛鳥京の実質的な最高権力者ですよ! これじゃただのクーデターじゃないですか!」
藤原「成功すれば、我々が官軍だ。歴史を作るのは常に勝者であり、敗者は後世まで悪党として語り継がれる。成功すれば正義の英雄。失敗すれば悪党。ただそれだけだ。」
佐伯「せやかて、皇子と鎌足さんのたった二人でクーデターが成功する確率なんて、正直殆どゼロに近いですやん!」
葛城「悪いことは言いませんから、絶対やめといた方が良いですって!」
藤原「一体誰が、私と皇子の二人でやると言った?」
中大「お前らも勿論、数に入っとるんやで?」
佐伯「え」
葛城「え」
藤原「我々の計画を知っている以上、君らにも入鹿暗殺に協力してもらうより他に手はない。これは決定事項だ。」
中大「そういうわけや。成功したら官位も褒美もやるよってに、まあ精々気張れや」
佐伯「そんな殺生な!」
葛城「すみません! ここまでの話、聞かなかった事にしますんで、グループ抜けさせて頂きますね! 失礼いたします!」
佐伯「上に同じく! このことは絶対内緒にしますんで! 失礼いたします!」
【葛城がグループから退会しました。】
【佐伯がグループから退会しました。】
【中大が佐伯をグループに追加しました。】
【藤原が葛城をグループに追加しました。】
佐伯「何で!」
葛城「どうして!」
中大「お前ら、今更逃げられるとでも思っとるんか?」
藤原「このLINEグループのトーク履歴とメンバーリストは既にスクショ済だ。もし仮に我々がクーデターに失敗してスマホを調べられたら、もはや君らも只ではすまない。」
中大「そういう事や。諦めろ。もしチクろうとしたらお前らが入鹿の悪口言ってた箇所のスクショもゲロするからな」
葛城「ノオオオオオオオオオオ!」
佐伯「嫌やアアアアアアアアア!」
藤原「折角なので、グループ名も変更いたしましょうか。」
中大「せやな。もはや蹴鞠やっとる場合ちゃうし。何かええのあるか?」
藤原「大陸の儒学者である荀子が著した書の中に、『陰陽大化、風雨博施』という一節があります。陰と陽が大きく変わり、風雨が広がったという意味の言葉ですが、そこから取って、『大化』というのはいかがでしょう。」
中大「ほー。なんか意味は小難しくてようわからんけど、響きはエエ感じやな。採用」
藤原「ありがとうございます。」
【藤原がグループ名を『大化』に変更しました。】
中大「ええやん。なんかワクワクするわ」
藤原「それでは早速、計画作成に取り掛かります。」
中大「おう、任せたで」
佐伯「なんで俺らがこないな目に……」
葛城「助けて……」
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