日向

 後に日向という名だと知る青年とは、以後も頻繁にレイトショーで顔を合わせることとなり、その度に反りが合わず口論となった。

 どちらかといえばビターエンドやバッドエンド寄りの話を好む小夜と、ハッピーエンド至上主義かつわかりやすい話を求める日向。これはごくごく単純化した構図であるが、とにもかくにも根っこのところで趣味が合わない相手を自らに従わせる手管を、お互いに持ち合わせていなかった。そうなってくると、どうしても言いたいことを言い合う形となり、最終的には人格批判に繋がったりもする。とりわけ、売り言葉買い言葉で燃え上がっているのだから尚更だった。

 最終的な帰結などわかっているにもかかわらず、深夜営業のファミレスなんかに入り、ぐだぐだと言葉を重ね続け、空が明るくなる前に決まったように喧嘩別れした。

 なにやってんだろ。朝の接近に伴う不安に加えて、実に不毛な時間を過ごし終えた後の徒労感は、日向との別れのたびに募っていく。いっそ、レイトショーに行くのをやめようかとも考えもしたが、何か負けたような気になるので、意地を張った。それは向こうも同じらしく、結局、戦争は継続することとなった。

 

 

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