第18話 「価値」のあるもの
WEB小説サイトで物語を書き、書籍化を目指すに当たって考えるべきことはやはり「価値」というものです。
資本主義の現代には「お金」という人間社会共通の価値観があります。人を動かすときは、その人が納得する額のお金を支払えれば基本的には動かすことができます。
しかし、お金に価値を感じていない相手を動かすには、それ以外のもので動かす必要があります。
例えをあげるなら動物でしょうか。動物に芸を覚えさせたいとして、お金を払えば覚えてくれるでしょうか? まず覚えようとはしないでしょう。動物が価値を感じるものといえば「食べ物」になります。食べ物を与えることで動物に芸を仕込むことができます。
出版社も仕事でそれをやっているわけなので、人間社会で共通の価値を持つものである「お金」を稼がなければなりません。お金にならないと思うものを書籍化はしないでしょう。
書籍化を目指したいのであれば自らの作品を「価値」あるものに仕上げなければなりません。
書くことに対して、天賦の才があれば簡単に価値のあるものを生み出せるのでしょうが、どちらかというと大多数は天賦の才など持ち合わせていないでしょうし、努力せずに才能だけで何かをなし得る人を、自分は直接見たことがありません。
他人の私生活を観察していたら、今頃ストーカーや変質者として逮捕されているでしょうからね(笑)
天才と呼ばれる人たちの見えている姿は、表の姿だけで影ではしっかりと努力をしているのかもしれません。
少し話が逸れましたが物語を書く上での「価値」について考えていきたいと思います。
現代社会はたくさんの娯楽に溢れています。そして、人間の扱える時間は限られています。そんな中で価値のあるものを作るためには、より短い文章で面白さを表現する必要があると感じています。カクヨムコンテストの短編部門に魅力を感じたのも、それが理由の一つにあるのかもしれません。
動画配信サイトでも、ショート動画というのは人気ですし、自分自身も空き時間につい見てしまいます。短い動画の中で、必要な情報だけを詰めこみ視聴者に面白さを提供する。その技術は小説を書く上でも学べることがあるでしょう。
現代社会において価値のあるものは「お金」ですが、それと同等、もしくはそれ以上の価値を持つものが「時間」です。
自分もつい、自堕落な一日を過ごしてしまい、後悔することもありますが、だからこそ「時間」の持つ真の価値を実感できます。
「時間」という価値あるものを大切にしなければならないと感じるからこそ、より少ない文章量で読者に面白さを提供する技術は、これから物語を書いていく上で、重要なテクニックになるでしょう。
そういえばカクヨムコンテスト10では「異世界冒険部門」と「異世界ライフ部門」で別れていますが、何故、カクヨム運営は分けるという大胆な行動に出たのでしょう?
それについて考えていこうと思います。そうすることでカクヨム運営が価値を感じるものを見つけられるのかもしれません。
● 異世界冒険部門
ファンタジー世界で冒険したり、敵と戦ったりする物語を募集します。
●異世界ライフ部門
ファンタジー世界を舞台としつつも、冒険をメインとしない、さまざまな生活ドラマを募集します。
「冒険がメインの物語」なのか「生活がメインの物語」なのか。それを分けたということは、カクヨム運営は「生活」というものを注視しているのかもしれません。
異世界での「冒険」とは、現代社会に例えるなら「仕事」や「勉強」でしょうか。どちらも大切なものではありますが、それを好きでやれている人は一部で、どちらかというと我慢しながら、仕方なくやっている人が多いように感じます。
それらを頑張れる理由は価値観によって違うので人それぞれでしょうが、頑張れる理由という部分に「生活」というものが入ってくると思います。
早く帰ってゲームをしたいから仕事や勉強を頑張る。
愛する家族のために仕事を頑張る。
推しを応援するために仕事を頑張る。
というように、生活というのはさまざまな要素がありますが、共通しているのは、どれも人が生きるための活力となっている、ということです。
「生活」というのはその人が「価値」を感じるものであり、それは「お金」や「時間」を割いてでも充実させたいと思うほどの熱量を持った、好きだと思えるもののはずです。
異世界ライフ物。ジャンルでいえばスローライフ物になるでしょうか。カクヨム運営は部門を分けるぐらいには「生活」というものを重要視しているようですし、現代社会に生きる一人としても、ぜひとも面白い異世界ライフ物のお話を読んでみたいです。
カクヨム運営という客観的な視点においても、自分自身という主観的な視点においても、異世界ライフ物というのは確かに現代社会に刺さる「価値」を持った物語だと思います。
幸福とは「生活を楽しむこと」であり、娯楽というものは、生活を楽しむことを知らない人が、代わりに編み出した幸福の代用品でしかない。
YouTubeで見た言葉ですが、確かに生活というものに、自分自身も目を向けなければいけないなと思っています。
そんなわけで生活を豊かにするためにも、創作活動を継続的に頑張っていこうと思います!
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