第57話
「すみません!やっぱり彼には向いていません。どうか、他のところに異動させてあげて下さい」
院長室に駆け込み、相談する。
「…実は、最近飼育員の方々が態度が悪いというか、やる気がないとお聞きして、やる気のあるスタッフが欲しいと要望がありまして。あくまでも要望でしたが柊先生が行ってくださるとのことでしたので…。申し訳ないです。
東京の動物病院は雑務なのですが、そこでしたら空いてるそうですが」
「そこで、構いません」
「ですが吉越先生と離れて暮らすことになりますよ?」
「構いません。そういうことで話を進めて下さい。彼には私から話しておきます」
病院に戻り、亮伍のいる病室に入る。
「早かったな」
「あんた!東京に異動になったから。てゆーか強制的にね!」
「え?まじで?」
嬉しそうにした。なんてやつ!
「私と離れられて嬉しい?そういうこと?」
「あ、あの私…仕事戻ります」
緒方さんはそそくさと帰ってしまった。
「違う。俺はお前と違って一度も東京の動物病院で働いたことねーんだよ」
「でも雑務らしいけど?」
「そ、それは少し悲しいけど、のし上がってやるし、構わない」
「私と離れて暮らすことになるよ?それでも…嬉しい?」
「お前、別に会えねーわけじゃねーんだから」
うん、そうだね。このまま動物園にいてずっと苦労してるのも辛いもの。しょうがない。
「わかった。単身赴任頑張って」
「それお前でしょ?俺は実家から通うし」
「えーずるい!なにそれ!」
「ちょい、まりこ。こっちこいよ」
「なによー」
亮伍の寝ているベットの横に行く。点滴していたけど、起き上がって、私の頭をなでなでした。
犬扱い?
「心配かけてごめん。休みの日はすぐ行くし、心配すんな?」
「くっそーむかつく」
すーぐそううやって優しいこと言うんだから!
「んで?退院いつできんの?」
「点滴終わったらね。帰ったらうちの片付けしないとだよ」
「えーまた倒れるしそれ。めんどくせー」
「私も手伝うし。私って超要領いいんだから!」
「知ってる」
早く元気になってほしいな。
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