第53話

すぐに到着。


「ほほう。どれどれ」


うさぎを抱きかかえるが、耳みたり目みたり。楽しむために来たんじゃなかったのか?いや、職業病だなこれは。


「ちょとー、なにぼーっとしてんの?」


「眠いんです」


「ふーん、私といてつまんないってか!」


「違うし。…あ、お疲れ様」


ここの担当の子が現れた。


「え、柊先生?作業着じゃないですよ?どうしたんですか?」


「今日はこいつ来てたから案内頼まれて」


「どーも!青森動物病院獣医の吉越です」


「あ、新しい先生…え?」


「おい、お前柊だろが」


「えー、吉越で認識されてるからめんどくさーい」


「奥様ってまさか…す、すごい…です」


はいはい。俺はどーせ獣医じゃないですよ。


「ね、あなたが担当かしら?」


「はい…そうです」


「ここの掃除もっとちゃんとできないの?子供たちも入るし、衛生面には気をつけてください」


お前、仕事しに来たんだっけ?


「は…はい」


あーあ、言い過ぎだ。


「おい、行くぞ」


「ほーい」


行く先々で驚かれた。まりこはどんな偉大な獣医だと思われてたんだか。俺も一緒に来てたっつーの!


「一通り拝見致しました。これからもよろしくお願いします」


園長に堅苦しい言葉を残し帰ることにした。

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