動物園での日々

第51話

「柊先生。お疲れ様ですー」


「あぁ、お疲れ様」


1ヶ月くらいしか経ってないけど、俺はすっかりベテランのようになってしまった。いや、いいように使われてる。


「お昼自作なんですか?」


昼休憩だったので弁当を食べていた。


「そうです」


「料理上手ですね」


「普通だよ」


「いやぁ、柊先生さすが!私、料理苦手なんですよ~」


「そうですか」


「よかったら、教えて頂けないですか?なんて…だめですよね?」


小動物エリア担当の女の子が、なんかぐいぐいくるんですけど…なぜ?


「それより、仕事ちゃんとしてください」


「そうですね、すみません!あ、でも食事とかはどうですか?」


「え、歓迎会?」


「いえ、2人きりで?」


なぜだ。ここの人たちには、異動の理由を言ってないのか?俺は左遷されたと思われていたのか?

年下の子がぐいぐい来るなんて、絶対おかしい。聞いてないんだよこれ。不倫とかまずいし、そもそもタイプじゃないし。


「あー…無理だな。終電間に合わないとまずいし」


「私、車持ってるから家まで送ります」


「どうして2人きりがいいの?相談?」


「それは…あのぅ、お話したいからですよ」


「すみません、2人きりはちょっと。妻が怒るとまずいんで」


「え?柊先生、結婚なさって…」


「園長に聞かなかった?動物病院で同じ職場だから異動してきたって」


「…お相手は獣医さんなんですか?」


「そうですね」


「すごい…です。あ、あの、さっきの話は忘れてください」


「はい」


「ど、どんな方ですか?」


この話、いつまで続くんだか…ええい!


「美人でスタイルよくて、モデルみたいだよ」


「…!」


絶句してる。すみません。仕事戻らないとなんで。


「じゃ、ゆっくり休憩してください」


その場を立ち去った。

あーめんどくさかった!

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