第49話

仕事が終わって、駅へ急ぐ。


ここは田舎なんで、1時間に1本くらいしかない。乗り遅れたらまずい!


俺は東京暮らしが長いから、車の免許は取る気がない。電車だってバスだって地下鉄だってあるし。しかし、田舎は不便極まりない。


なんとか間に合った。

この電車1両しかないとか…しかも俺しか乗ってねーし。電車に揺られて30分程で着く。

それから家まで歩いて帰る。ハードだ。俺は筋肉むきむきになるな!間違いない!


「ただいま」


「おかえりー!遅かったね!」


元気そうなまりこ。


「まぁな。仕事頼まれちゃったから帰れねーってなってさ」


「まじでか。お疲れー、で?ご飯は?」


「食べてないし」


「ごめーん、私ラーメン食べた」


「お前なぁ、夜食じゃないんだからちゃんと食えよな…たく。ついでにお前の分も作るから何食いたい?」


「え!いいのー?じゃあーピザ!無理か。えーっとパスタ、ないか。んーっと」


「まりこお前元気だな…」


「うん。緒方さんうけるしー」


「まじか、いいな。じゃ、疲れてるんで簡単にチャーハンでいい?」


「いいー!食べるー」


なんでもいいのかよ。

さっさと料理して、持っていく。


「ほら、食えよ」


「頂きまーす!んで?明日も遅いの?」


「そっすね。なんか知らねーけど仕事増やされてるし」


「私休みだし、材料買ってきてあげるー。なにが必要?」


「お前作れよ」


「えーめんどくさいもん!」


「できねーんだろ?てゆーかしないっていうね」


「いーじゃん!で?何買えばい?」


「今思考したくない。疲れた」


「まじ?大丈夫?熱とか?」


まりこが額に手を当てた。俺を心配するやつなんて珍しいな。


「熱なさそうだよ!よかった」


「うん。あのさぁ、俺は中学生に見える?」


「は?なにそれ、見えないからー普通に」


「身長判断でそう見られた。ってゆーか言われました」


「まじ?うけるんですけどー!」


「人を身長で判断しないでほしいな」


「顔見てないってことだね!あれ、もういいの?」


チャーハンを食べるのすら面倒になったので、箸を置いたのを目ざとく見ていた。


「食べたい?」


「うん」

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