柊亮伍の異動先

第46話

結婚を機に、異動となった。

異動先というのは…動物園である。


今まで定期検診で来ていたのだが、まさか自分がそこで働くことになるとは。

しかも…飼育員なんですけど。


ふぅ。


1人ため息を尽きながら、小屋の掃除をしていた。もうすぐ開園だからそれまでに終わらせなくては。


俺の担当するのは爬虫類ゾーン。

なんでここ?と思ったら皆やりたくないらしい。こんなにもかわいいのに。


それよか、俺は一応獣医なんすけど、なんで掃除とかしないといけないんだ?ま、いいけどさ。動物と触れ合えるし。


しかし、これを尚兎が聞いたらずるい!って言うんだろうな。羨ましいだろ?

しばらくは教えてやらないことにしてる。


「柊先生」


「あ、なんですか?」


ここの園長がのこのことやって来た。


「いゃあ、先生の働きっぷりはいいですね」


「ありがとうございます」


気にせず、残りの作業に戻る。


「ところで先生、もうすぐ開園ですが終わりそうですか?」


「もう終わりますが」


「あの…他にもやって頂きたいところがありまして」


「いいですよ。どこです?」


「あの、アルパカのですね…」


「わかりました。掃除ですね」


「助かります!先生!」


ったく、ここの飼育員はどうなってんだ?担当外の仕事させやがって。


ここに来てからというもの、体力仕事ばかりしている。動物病院ではほぼ事務仕事だったのにまるで違うな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る