第44話

柊と離れ、再び動物病院へ。そろそろ夜勤も終わりかな…。


と、そこへ狙い通りまりこが。


まりこの横に車を止める。驚いて立ち止まったところ、降りる。


「え、守?」


「よ、吉越さん、結婚するんでしょ?」


「うん、そう」


「俺さ、まりこのことまだ気になってた。振ったのは、迷惑かけたくなかったからで…別に嫌いとかじゃ…」


「ごめん、私もう守とのことは忘れちゃった」


「え、そ、そう」


「うん」


なんか、まりこ変わった。合コンとか行ってたあのまりこと違う。なんか、落ち着きがある。それに、研修で会うたびぎくしゃくしてたのがまるでない。


「えっと、ちなみにどっちが告白したの?柊?」


「そうだけど」


「そ、そうか」


柊ってやるときゃやるやつだからなぁ。侮れない。と、改めて思った。


「柊はさ~仕事できないし、やる気ないやつだけどさ~ほんとにいいの?」


「うん。いいの」


「そ、そっか。じゃ、帰る」


俺は、だめだった。


まりこが選んだのは柊。


涙が出そうだ。


俺はまりこのこと好きだったけど、柊のこともそれ以上に好きだ。


俺の好きなものが結ばれるのは不思議だ。嬉しいのか、悲しいのか、わからない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る