第35話

朝から犬の散歩なんて。今日はうちの実家に行くのに、なんか変な感じ。


「いつも散歩誰がしてる?」


「たぶん、亮介。あいつ暇だから」


「そっかー。毎日大変だね」


「そんなことねーし。こんなかわいいのに」


「うん」


「あれ?亮伍?」


こんな朝っぱらから、亮伍に話しかけてくる人がいた。散歩仲間だろうか?

と思ったけど、


「おー尚兎」


「なになに、こっち来てたんじゃん」


彼は亮伍の友達で、変人。


「お前は何してんだ?」


「ライブのリハやって終わったとこー」


「朝からやんのかよ」


「違うし。深夜からのー今です!」


「仕事は?」


「今日は大丈夫な日でした」


なんか私が会ったときの柴田さんとちょっと違う気がする。


「柴田さんってバンドしてんの?」


「え、誰これ。新しい彼女?」


「ちげーし。まりこだし」


「え?あー顔塗ってないと違うんだね?」


失礼な。悪かったわね。いつもギャルメイクですとも。


「で?バンドしてんのかって聞いてんだけど」


「ただの助っ人。じゃあ眠いから帰る」


「おう。あ、俺結婚することにした」


てゆーか、そんな適当に言っちゃうわけ?


「まじで。誰と?」


柴田さん、その質問なんなわけ!


「いや、ここいんじゃん」


「まじ?おめでとーじゃ」


軽い。どうしてこんなに軽いんだろう。そのまま去って行った。


「柴田さんなんか雰囲気違ったー。もっとさーだらけてたよね?」


「あいつは普段深夜に活動するやつだから。夜以外はだらけてる」


「へー。助っ人ってなんなの?」


憲緒のりおのバンドのボーカルの代理」


それって友達?


「え、あの人歌うまいの?」


「普通にね。でもいつもバンドしてるわけにはいかねーんだよ。仕事あるし」


「そうなんだ。代理か」


「まぁそこのボーカルはよく変わるらしいから、尚兎を呼んでる」


「変なの」


じゃあバンドで一発当てちゃえばいいのにね。

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