第34話

「まりこさん、今日は泊まるのかしら?」


「はい」


食後、そんな話になった。


「亮伍は野獣だから、居間で寝たほうがいいわよ」


「息子に向かって言うことじゃねーよ」


「私、居間のほうがいいです。この子たちと一緒がいいし」


動物たちをなでなですると落ち着くんだもの!


「さすが獣医さんね。散歩も行く?」


「行きたい!…あ、すみません」


柊母と話してると、まるで友達と話してるような気分になっちゃう。


「いいのよー。散歩よろしくね。もちろん亮伍もね」


「それ、ただ単に行きたくないだけだろが。俺も今日はここで寝る」


「やめてよ〜!こんなとこで!ねーまりこさん!」


「そんなことしねーよ」


「してたじゃーん?」


「やめろ、もう寝ろ」


結局亮伍は自室に移動。母強し。

たくさんの動物に囲まれ寝るなんて初めて。気分いいし、疲れが一気にふっとんだ。


朝は目覚ましなしでも起きられた。亮伍の部屋に入ってみたら、整頓されていた。さっすが。昔から片付けできてたのね。

揺り起こすと、嫌な顔をした。


「なんだよ、早いな」


「散歩、行こう!」


「あー、そうだった」


ちょっと嫌そうにしてたけど、のこのこと起きた。


部屋の犬たちにリードを付けて靴を履く。


「よし!行こう!」


「おい、まだだよ」


そう言って先に外に出た亮伍を追いかけると、外にも犬が。どんだけ飼ってんだよ!


「全部で…6匹もいんの?」


「まーね。昔はもっといたけど」


「あんた、それを毎朝散歩してたの?すげー」


「どうも。行くぞ」


「うん」

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