第28話

「聞き捨てならん。俺をバカにするな」


「もーやだー、疲れたー」


「残業お疲れ」


「そうじゃない!」


「よーしよしよし、いい子だ、ご褒美ほしいか?」


犬のように髪の毛をかき乱された。そんで、ほっぺたをぎゅっと手でつままれてる状態に。


「ちょっとー変な顔にしないでよー」


「まだ泣いてんの?」


「うるさーい」


「大丈夫だって。俺がなんとかしてやるよ」


今度は頭をなでなでされた。こいつ、犬扱いしてるし。


「なんとかってなによ。具体的に教えなさいよ」


「そんなん適当にしときゃなんとかなるんじゃね?」


「適当ってなんなのよー!」


「頭いいやつは考えすぎるからだめだな」


「なにそれ!どういうことよ!」


「はいはい、いい子だから。怒るなって」


いつまでもなでなでされる私。

なでられていた手がほっぺたにいって、あごにいってっと思ってたらいきなりキスされた。


「な、なに!」


「やっとおとなしくなったなー。そんな心配しなくていいのに」


「心配だよ!」


「俺はね、まりこに拒否られないか心配だったんですけど。でも結婚してくれんでしょ?じゃあなんとかするし」


「私の気持ちだけじゃどうにもなんないよ?」


「俺が頑張るし」


なにそれ、なにを根拠に?


「ほんと?」


「嘘は言わない」


「…じゃあ、私と結婚して下さい」


「…お前よくそんな普通に言えるな」


いつも冷静な亮伍が少し照れていた。そこ照れるとこじゃない。

そんな亮伍を見ていたら、だんだん安心してきた。こいつフクロウに似てるからなんじゃないの?動物の癒し?いや、私になついてる犬?みたいな。

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