第9話

「夜道ってこんなに綺麗なんですね~、あ、こっちは海なんですね~」


柊先生と歩きながら、景色を見ていた。行きは緊張してたけど、酒パワーでいつもの私になっていた。


「吉越先生、元気ですね」


「はい!楽しかったので!」


「よかったです」


「あ、ちょっと海眺めていいですか?」


「はい」


海から離れていて、砂浜よりも奥にある堤防のコンクリートの上に座り、海を眺めた。


「なんか、夜の海って雰囲気違いますね~」


「そうですね」


そう言いながら、柊先生は私の隣に座った。


「なんか緒方さんに尊敬されてて、びっくりでした。私のこと見てくれて嬉しいなぁ~なんて」


「よかったですね」


「…柊先生、私と同期ですよね?敬語じゃなくていいですよ?」


「そうか、忘れてた」


順応早っ


「あ~このままここでぼーっとしてたいなぁ。家は1人で寂しいし~」


「青森の冬はなかなか厳しいけど。死ぬんじゃない?」


「冗談です~!」


「は?まじに聞こえたけど?」


「うるさいな、もう!」


柊先生としばらく、どうでもいいことを話してた。楽しくてずっと話してたくなる。


「今何時?まだ2時じゃん!」


「そろそろ帰る?」


「嫌。まだここで海見てるの」


「は?見てねぇじゃん。しゃべってんじゃん」


「見てるの!」


「じゃ、ご自由に」


柊先生は海を見つめた。海とかよく見えないけど。


「そういえばー足助守ってさー前犬飼ってたらしいよ?あいつより体格でかいやつ!知ってる?」


柊先生はこっちを見ないで海を見てる。


「ねぇ!私の話聞いてんの?」


と言っても海をぼんやり見ていた。


「ちょっと~!ねー怒ってんの?」


すると、くるりとこちらを見た。


「俺、お前のこと好きなんだけど、付き合わない?」



「…は?」

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