第8話

「吉越先生!その美貌の秘訣をどうか教えて下さい!」


隣の席だったからなのか、絡んでくるし。


「そう言われても最近はなにも…」


「教えて下さいよ!」


「吉越!けちんないで教えな!つーか緒方さん?私には美貌の秘訣聞かないわけぇ?」


「あ、すみません!小田先生も綺麗ですよ?」


「もってなによ?」


「すみません…!でも仕事じゃないときにこそ、吉越先生に聞いておかなくては」


緒方さんって意外としつこいのね…。柊先生はというと、1人もくもくと食べていた。


「そろそろ帰りますよ。明日も仕事だし」


柊先生が切り出した。まじめな奴なのか?緒方さんがうるさくて迷惑してたから丁度いいや!


「はぁ~?柊、お前だけ帰れば~?」


莉香ちゃんご立腹。酔っ払いは怖い。私はあんまり飲まなくてよかった~


「莉香ちゃん、私帰る。はい、お金」


「まじ~?ま、しょうがねぇから私も帰るか!緒方さん会計して!」


「はい…って柊先生もお金出して下さいよ!」


「…そんな怒らなくてもいいんじゃないですか?」


「早くして下さい!じゃ、行ってきますんで!」


緒方さんは莉香ちゃんの小間使いになってる。


「そんじゃ私~タクシーで帰る!吉越は?」


莉香ちゃん金あるなぁ…。


「近いし歩く。…あ、でも道わかんないや」


「じゃあ、俺送りますよ」


え、柊先生、一人称俺なの?


「じゃあ…お願いします」


「お待たせしました!皆さん一緒に歩いて帰りますよね?」


元気よく緒方さんが帰ってきた。


「あたしタクシーだから!じゃあね~」


早速タクシーに乗りこんだ莉香ちゃんは、手を振りながら去った。


「それじゃあ、3人で帰りましょう!吉越先生家どこですか?」


「動物病院の近くなの」


「じゃあ私の家からは離れてますねぇ…あ、柊先生も近くでしたよね?」


「そうですが?緒方さん、近道して1人で帰ろうとか思ってますよね?」


「いや~まぁ~吉越先生、いいですか?」


なんで私に許可を求むの?


「え、はい」


しょうがなく返事した。


「じゃあ柊先生よろしくお願いしますね!」


…って緒方さん1人夜道歩かせて危なくない!?と、思ったときにはいなくなっていた。


「緒方さん、ここから家近いんで大丈夫ですよ。それに怪力だし」


柊先生はあっさりと言った。


「あ、そうですか」


私の思考を読まれた。

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