第4話椅子の座り
椅子に座って、物事を考えると、着想の起点がぶれる。
芯になる体感は、体を曲げて、背筋を伸ばすと、息の方向性により、視線が前方から下方に揺れて、片足が振動するなら、むしろ、地面に座る方がいい。
体感を意識して、椅子から立ち上がり、哲学を思考する段階で、ふっと息をつくと、腰が持ち上がって、思考が逃げるのを私は個人的に感じる。
じっと座って、座布団の上で、本を開くと、腰が安定し、背もたれがなければ、前かがみにある。
すると、本の字面にぐっと集中し逃れられない視線の傾斜によって、言葉は、直接的に、脳と近いゆえに、吸収率が高いというのは、私の主観である。
腰が痛くなって、集中できなくなると、さらに、反動で、言葉に寄っていく。
その限定された空間で、ひと段落すると、伸びをする。
物事は、窮迫的になるほどに、真剣になる。
あえて、リラックスする椅子に座らず、腰の落ち着かない状態を作って、意識の逸れを計算に入れ、時間を測らず、体感で読む。
すると、言葉は、中空から、脳にプットされる率が上がって、時間を忘却し、さらに伸びをして、本を閉じる。
読書は、リラックスする環境よりも、不自由な姿勢で読む方が、私には向いている。
椅子の座りを意識する。
それ以上に、体感を意識しないで、自然と腰が痛くなる頃に、読書を終了するタイミングとなる。
これが、私の好むやり方で、言葉に真剣に身を入れる瞬間瞬間を時間から跳躍する。
タイミングは、逸れるときにこそ、文意の深みに触れるときなのだ。
逸れる呼吸は、入る瞬間であるから、足が痛くなるなら、それを感じたときに、入ったということなのだ。
完全に時間に目がいくと、離れる。
集中とはつかず離れずであると思うのだが、集中から吸収に向かうために、思考の逃げ道を座布団と足と腰に掛ける。
以上が、とある星で聴いた一つの方法と仮定し、これは、一種の呼吸法であるのかもしれない。
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