第二章
図書室で委員会の仕事をしている放課後に、司書さんから声がかかった。
「二人とも、文芸部に入ってみない?」
曰く、部活動として存在はするが、部員がいなく、生徒会も教員も忘れているから気負う必要が無く、面接の札の一つにもなるからやってみないか?というお話だった。
「じゃあ、入ります。正直、部活動入れって面倒だったんですよね。」
「わっ私も入ります!先生には気を使われて、催促されてなかったけど、そういう視線は、あったと思うので。」
相変わらず言動がネガティブ。だけど、これだけはきはきしゃべれるようになるものなのか。
「了解。なら、文芸部第一の活動として、短歌でも作ってもらいましょうか。」
早速が過ぎる。僕も宮森さんも「えっ!?」という表情を隠すのが間に合っていない。
「575でも57577でも好きな方で作ればいいわ。いっそ漢文で作ってもいいわよ?」
さすがに漢文はむりだなぁと思いながら、575で適当な短歌を考えてみる。
今は夏で、暑すぎて蝉の声が無くて、昔はもっと涼しくて、変わらないと思ってたものが、変わって、
【蝉鳴かず、古今の夏の、さざれ石】
こんなもんでいいのかな。これを人に見せるとなると、なんだか恥ずかしくなってくる。
「でっ「できました。」」
「二人とも速いわねぇ。じゃあ声に出して読んでみる。はさすがに無理だと思うので、私が黙読します。」
嬉しそうにそれぞれのプリントを受け取った司書さんは、読んで考えてと読みながら考えてを繰り返してから、満足そうに感想を口にし始めた。
どちらも、恥ずかしいと思っていた内容を褒められ続けたため、かなりいたたまれなくなり、司書さんから逃げるように帰宅した。
その後、文芸部の活動として、定期的に短歌を書くことになって行った。
僕はセンスを、宮森さんは表現力を褒められることが多く、
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