第3話【社会人二年生 vol.3】

 太陽が昇り始めていて、私の頬に陽が当たっていました。久しぶりに拝んだような気がするお日様。

 私は立ち止まって深呼吸をしました。普段ならば犬猿するジリジリと照り付ける太陽の日差しが、この時ばかりは心地よく感じました。

 

 大げさかも知れないのですが、生きているという心地を味わうことができたのです。ずーっと屋内で作業し、お客様からのお叱りの言葉を受け、私のメンタルはだいぶ乱れ、起伏も激しくなっていたのだと思います。



 少し歩いた先にモノレールの駅がありました。地上より高いところを走っているので、エスカレータを上ったその先に駅があったのです。

 ふとエスカレータを見上げると、そこには若いカップルのお姿が。当時の私と同年代だったと思います。平日だったので、お二人ともフォーマルな恰好をされておりました。


 そんなお二人ですが、、、なんともまぁ、密着しておられました。詳細は割愛致します。

 

 時刻はまだ朝の五時半です。周囲には誰も居ません。少なくともその時は。そして、エスカレータには屋根もついており、ちょうど良いカンジで死角になっていたのです。

 きっと、こんな朝早い時間で誰も見ていないとお考えだったんでしょうね。けれど、私はゆっくりと高みへと向かうお二人をしっかりと見ていました。

 

 私はぼんやりとそのような光景を眺めていたのですが、

「何やってんだろ」

(一方の私は、)と思わず独り言を漏らしていました(笑)。



 そんなこんなで、朝っぱらから貴重なシーンを目の当たりにした私は、ゆっくりと踵を返し、県警様のサーバ室に舞い戻ったのです。

 モノレールの始発が既に走っていたのか、それは定かではありません。

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