四頁ー愛Ⅱー 【閲覧注意】


宵月は彼岸の自身を口に含み、刺激を与えていた。彼岸が満足そうに、上から宵月を見下ろして、頭を撫でている。彼岸が微かに震えて、達した事を確かめる。口の中にエグい苦味が広がる。


「飲んで」


彼岸の"命令"に、宵月は従うしかなかった。こくりと喉を上下させて、苦い白濁を飲み込む。「いい子だね」と頬を撫でる彼岸を見上げながら、宵月はエデンの事ばかり考えていた。今度はどんな世界なのか、エデンは無事なのか。そんな事を考えていると、宵月の髪を引っ張られた。


「……宵月。私の事しか考えないで?」


笑顔の中で冷めた声。それにびくりと震えながら、再び彼岸に押し倒される。再び全身を愛撫されながら、宵月は自責の念に掛けられていた。逆らわなければ。逆らわなければと考えながら、宵月は再び快楽へと身を投じた。



エデンが幾ら喘いでも、ハーロックの拷問は終わらなかった。身体の中に何度、ハーロックの物を出されただろうか。ハーロックの異状性癖を、エデンはひとつも理解が出来なかった。


「あ……っ、あ、」

「エデン……可愛いね……」


すると突然、ハーロック自身がエデンの中から抜かれた。解放しきれない苦痛に小さく喘ぎ、エデンは絶え絶えの呼吸をする。その間に、ハーロックは再びナイフを取り出していた。次は何を。それよりも逃げなければ。そう思っても、四肢がなくなり動けない。ハーロックはエデンに再び近付き、ナイフを光らせた。


「エデン、これも気持ちいいよ?」

「んあ!!」


ナイフを腹部に突き刺された。そこから引き裂き、傷を開く。最早甘い嬌声しか出なくなっていた。切り開かれた腹部に、ハーロックは手を突っ込んだ。内蔵を引き摺り出され、それも快楽に代わり、エデンは泣き叫ぶ。


「あーーーーっ!!!」

「ふふ、エデンの腸、可愛いね。食べたいくらい」


ハーロックが愛おしそうに言う。腸に頬擦りする。有り得ない行為に、エデンはどうする事も出来ない。涙をぼろぼろ流し、荒い息と喘ぎ声を繰り返し、苦しくて苦しくて仕方がない。ハーロックは腸を投げ捨てると、再び道具を取り出した。木刀だ。


「愛しているよ、エデン」


そう微笑んで、ハーロックは木刀でエデンを殴った。何度も何度も殴りつけ、エデンは意識を手放した。それも構わず、ハーロックはエデンを殴り続けていた。



「……そろそろかな」


宵月を犯している最中だった。彼岸はそう呟くと、宵月の腰を支え、強く激しく腰を突き上げた。


「あぁっ」


びくと身体が跳ね、宵月と彼岸は同時に達する。重く息を吐いていると、後始末をしながら彼岸はてきぱきと服を着ていく。宵月が不思議そうにしていると、ぱちんと彼岸は指を鳴らした。すると、白い空間に罅が入り、空間が崩れていく。広がっているのは、また白い空間だったが。


「……彼岸?」


服を着つつ、宵月が訊ねる。すると彼岸はくっと笑った。そのまま、白い空間の先へと指を指す。


「面白いものが見られるよ」


嫌なものを感じ、宵月は直ぐさま走り出した。くすくすと彼岸の笑い声が聞こえるが、知った事ではない。宵月は"彼"に会う為に走る。絶望しか待っていないと微かに感じながら。



白い空間の最深部に辿り着くと、そこにはエデンと思わしき物体がいた。切り落とされて放り捨てられた四肢。下半身から溢れる白濁。引き摺り出された内蔵。顔面は原型を留めていないほど、何かで殴られた形跡がある。返り血を浴びながら残っている美しい銀髪が、"それ"をエデンだと証明していた。


立ち尽くし、その場にくたりと座り込む宵月。見開かれた赤い瞳に、翳りが差している。どうしてこうなった。またハーロックの仕業だろうか。世界はどうなっている。ピースは、何処に。くすくすと、笑い声が聞こえる。"魔法使い"だ。と理解したが、そんな事どうでも良かった。エデンが。エデンが。エデンがこんな目に。


宵月の視界は真っ暗になった。






第五章.完.

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