八頁ーリンク界ー



「その……おめでとう……?」

「ふたりも俺に殺されたいみたいだね」


ログハウスの一室、エデンは神月と白雪にそういうと、苛ついた様子の白雪にそう返される。だが、ふたりが視線を合わせると、ふたり共頬を染めて視線を逸らす。これは、もう言うまでもないだろう。


「取り敢えず、帰ろうか」

「その前に、神月」


白雪の言葉を、エデンが遮った。神月は首を傾げる。


「指にはめていた指輪。俺にくれないか?」

「? ……構わないが……」


不思議そうにしながらも、神月は黒い指輪を外しエデンに渡す。すると、指輪は霧散し、エデンの首に下げれられた水晶玉へと吸い込まれていった。


「!?」

「……やはりそうだったか」


何となくコツのようなものを掴んできた。感心してる宵月を見つめ、エデンは微笑む。

「これで二つ目のピースの回収、完了だ」

「良かったな、エデン」

宵月が微笑むと、エデンは少し頬を赤くした。それを見ても神月は動じずに、エデンに訊ねた。

「それがエデンが探していたものか?」

「嗚呼、所で、何処で手に入れたんだ?」

「……ただの雑貨屋だ。偶然目に止まって買った」

「まあ、詳しい話は後にして、機動隊本部に帰ろう……疲れた」

白雪の疲れきった声に苦笑し、四人は神月の空間転移の魔術で、直ぐさま本部に帰還した。



機動隊本部に戻ると、一番に顔を合わせたのはハーロックだった。

「白雪、神月。何処に行ってたの? 急な仕事かい?」

「……まあ、そんな所かな……」

歯切れの悪い白雪の回答に、ハーロックは不思議そうに首を傾げる。疲れているのを察してか、ハーロックは取り敢えず休憩をするように言った。白雪も神月も、それに甘える。


休憩室で、四人でお茶をしている時だった。きいと音を立てて扉が開き、誰かが入ってくる。黒い髪に青のインナーカラーの長髪をひとつに纏めた、月影だった。

「……月影…………」

白雪が低く唸る。それを抑えようと必死になっている神月。月影は何も言わない。虚ろな瞳で、ふらふらと此方に歩み寄る。


「月影? 何処か具合が……」

エデンがそう言って席を立った時だった。月影は突然エデンに距離を詰め、隠し持っていたナイフで、エデンの喉を切り裂いた。噴水のように血飛沫が上がり、エデンは倒れる。ぎょっとして、白雪と神月は動いた。


「は!? 月影君っ」

「取り押さえて! 早く!」

「エデンを救護室に!」

「……この出血量じゃ、もう……」


宵月は事切れたエデンを眺める。嗚呼、またか。周りがパニックになる中、宵月は妙に冷静だった。当の月影は、白雪に組み敷かれたまま、虚ろな瞳のまま抵抗はない。


"今回もお見事でした、宵月様"


突如、頭の中に語りかけて来た声があった。"彼奴"だ。宵月は急いで休憩室から出て駆ける。神月に声を掛けられたが、構う事は出来なかった。


こうして世界をトリップする。

宵月は、またエデンを追うだけだ、







第二章.完.

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