六頁ーリンク界ー
狡い。
エデンに押し倒される宵月を外の窓の隙間から見て、神月は歯軋りをした。何故彼奴なんだ。何故俺ではないんだ。出会ったのが後だからか?見た目は瓜二つだと言うのに。
悔しいという醜い感情が、神月を支配した。すると、外にエデンが出ているのに気付く。神月は、ふらりふらりと彼の元に歩んで行った。
*
エデンの帰りが遅い。
部屋のベッドに腰掛けている宵月は、時計を確認して息を吐いた。エデンが外に出て一時間は経っている。とっくに頭が冷えている筈だ。なのに何故、帰ってこないのか。
考えられるのは、エデンが死んでいるかもしれないと言う事だった。実はこの世界にもピースはひとつしかなく、とっくに死亡している。
考えたくもない予想だった。だから、宵月は宿屋から出てエデンを探す事にした。
何処を歩いても、見渡しても、彼は居ない。本当に死んでしまった?ならあの魔法使いは何をしている? やはり、生きているのか?
様々な考えが頭を巡る。すると宵月の中に"機動隊"と言う言葉が浮かぶ。そのまま、宵月は目的地に向かって走り出した。
*
「誰か居ないか」
「その声神月? 今まで何処行ってたんだよ、仕事全部俺に押し付けて……」
機動隊の本部に行くと、不機嫌な声が返ってくる。白雪が宵月を睨んで、不満がありますと顔に書いてあるようだ。
「いや、俺は宵月だ」
「え? 本当?」
「嗚呼……」
白雪は虱潰しに宵月の全身を見て、やっと納得したのか、大きく溜息を吐いた。
「ごめんごめん。で、宵月、こんな時間にどうしたの?」
「エデンが姿を消してしまった。もう一時間以上も見ていない」
「え、此方は神月が居ないってのに……」
そうぼやいて、ふと白雪は顔を上げた。
「まさか、彼奴……」
「何か判ったのか?」
「いやね、神月が、エデンを攫ったんじゃないかなって……」
宵月の思考が止まった。何故。どうして。と考えるが、さっぱり判らない。
「
つかつかと白雪は地図を取り出し、テーブルに広げる。幾つかのポイントに、黒い星の印が記されている。
「星の印が転移場所。……あいつ、エデンにベタ惚れだっただろ? しかも頑固。我を貫くタイプ。どんな手段も使っても、ね」
「……何処にいると思う?」
「んー……第二支部ではないだろうね。それとキャンプ地も。残された場所で此処かなってのは……休憩用のログハウス」
「向かう、案内してくれ」
「……遠いよ?」
「走る。だから急いでくれ」
「まじで?」
「まじだ」
白雪が仕方ないねと素早く支度を済ませた。外に出ると白雪は此方だよと指を差した方向に走っていく。追い掛ける宵月。
「君走るの早いね?」
「生憎人間ではないもので」
「は???????」
*
意識を取り戻すと、温もりを感じた。
はとエデンは辺りを見渡す。木造建築の部屋のようだ。そして何故か、上半身が裸になっている。ネックレスもない。
そして、
「……エデン」
神月がエデンの胸元に擦り寄り、微笑んでいた。
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