あける
トランクが開いた。夜空が見える。
いつもは渋くてしょぼい都会の薄明かりしかない夜空も今日は光り輝いて見える。
差し出された手を掴んでトランクを脱すれば中天に見える満月の輝きが目に眩しく。
「大丈夫かい。えーと、菅谷君だっけ?」
「……腹減って死にそうですけど助かりました」
声の主に目をやる。
アロハ、ジーンズ、金のネックレス。連想されるのは
「……東南アジアで麻薬売ってそうっすね」
上から下まで見回して思わず突っ込む。
「それ同僚にも言われんだよね」
苦笑いを浮かべるおっさんを見て顔も知らぬ同僚に同意する。
「まあ自分は捕まえるほうなんですよ。本日もがさ入れの直後でして」
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