駆ける

睨み合いを続けた三馬鹿の反応が遅れたのを良い事に路地の出口までを駆け抜け、おまけで粗大ごみを全部道路にまき散らしてやる。

(よし時間稼げた。エレベーターを呼んでる暇はねえ!)

後ろから聞こえる罵詈雑言をBGMにマンションの階段を駆け上がる。五階建てのマンションの最上階に住んでいる事を始めて疎ましく思いながら妙に回る頭を回し続ける。


1.部屋に閉じこもってから警察を呼ぶ

却下。馬鹿がカジノの話をしたら俺も巻き添えを食らう。

と言うより思ったより相手の追いつく速度が速かった。いや痛めつけられた俺が遅いんだろう。

2.部屋に閉じこもるのが間に合わないならどうするか。

2階に上がった所で階段から廊下へと走る向きを変更して停止。

三馬鹿が階段を駆け上がる音が通り過ぎたら静かに廊下を直進。

突き当りからマンションの駐車場を見下ろす。

(やり過ごしゃいいんだ)

廊下の突き当りを痛む体を無視して駐車場に降りる手段を探す。何時戻ってくるか分からない階段は使えない。二階程度なら飛び降りれるかと思ったが足が痛む、何かないか何かないかと目を彷徨わせる最中、階段を駆け下りる音が聞こえた。

(クソがよ)

そのまま地面に向かって飛んだ。

足が地面にぶつかった時に盛大な声が漏れそうになるが、ソレを噛み殺して駐車中の車に這いよりトランクに潜り込んだ。

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