episode.13

「んっ、んっ、はぁっ、レオネル、様……」


レオネル様の舌が鎖骨を這い、首筋を舐め上げる。

さっきから肝心は場所をワザと避けられているのは分かっている。

ピクピクと身体が揺れて、どんどんと辛さが増していった。


「ふっ、リゼ、まだ何もしていないのに、ここをこんなに立たせて」


胸の先を爪で弾かれて、私はガクガクと身体を揺らした。


「んっ、あっ」


ねだるような自分の甘い声に、耳を塞ぎたくなる。

ハッハッと苦しい息を吐く私に、レオネル様は少し呆れたように笑った。


「本当に強情だな。こんなになってもまだ何も言わないとは」


そう言われても、自分でももう何が何だか分からない。

ただ、言葉がどうしても出ない。

何と言えば良いのかも分からなかった。

ただただ熱くなっていく身体を持て余し、苦しげに息を吐く私に、レオネル様は困ったように眉を下げて、まるで私に見せつけるように舌を伸ばすと頂をペロリと舐めた。


「んっ、やぁっ」


途端に歓喜の声を上げる私に応えるように、そこを唇で喰み、もう片方を指で挟んで強く扱く。


直ぐに甘く喘ぐ私にレオネル様はクスクス笑いながら、舌で舐めていた頂を口に含み激しく吸い上げた。

胸に何か切ないものが込み上げてきて、同時に下腹部がキュンと疼き、レオネル様の舌の動きに合わせるように腰がユラユラと揺れた。


「んっ、やぁぁぁぁぁっ」


抑えていたものが一気に爆発したみたいに胸一杯に広がっていく。

下腹部がキュンキュンと疼き、そこから一気に溢れ出した。

初めての経験で直ぐに気付かなかったけど、私はこの時胸だけで軽く達していた。


レオネル様はそれに気付いていたのか、クスクス笑いながらドレスの裾を捲り上げ、手を太腿の間に滑り込ませ、そこに軽く触れ溢れ出たものを確認するように指で優しく触れた。

それだけでビクンと震える私の身体を抱き起こし、座った格好で後ろから私を抱きしめた。

私はレオネル様の厚い胸を背もたれにしている体勢で、足を左右に広げられる。


レオネル様は後ろから手を伸ばし、太腿との境の辺りを優しく指で撫でるだけで、私の求める場所には触れない。

焦ったさに涙を浮かべながら、私ははしたなくもねだるように情けない声を出した。


「あっ、レオネル、様………いじわる……しないで……」


それだけ言って顔を真っ赤にする私に、レオネル様が後ろから耳元で囁く。


「何の事だ?ハッキリ言ってもらわないと分からんな」


そのレオネル様の言葉に、私はますます涙を滲ませた。

先程のお願いだって、レオネル様が後ろから私を抱えていて、顔が見えないからやっと言えた事で、これ以上は私には無理……。

どうしたらいいか途方に暮れる間も、レオネル様の指がその周りをなで、時にイタズラに中心部を掠めるので、私は焦ったさにハァハァと短い息を吐いていた。


「……あっ、もっ、お願い………レオネル、様………」


身体を揺らしながらねだるように胸を前に突き出す私に、レオネル様はその頂を指で摘んで、下腹部の下で彷徨わせていたもう片方の手の指でその先に分け入り探り出すと、そこを強く押し潰した。


「んっ、レオネルさまぁっ」


私の嬌声を楽しむように、胸の先を指で弄られ、下も音を立てて擦り潰されて、私はゾクゾクと背筋を仰け反らせた。

そのせいで胸がより一層前に突き出て、まるで自分からおねだりしてレオネル様の手に押し付けているような格好になる。


「んっ、はっ、んんっ」


次々と溢れる甘い喘ぎに、レオネル様は満足そうにクツクツと笑った。


「リゼ、いやらしい子だ。

可愛いよ、もっと素直に感じるんだ」


低く艶めいた声で耳元で囁かれ、背筋がゾクゾクと粟立つ。

レオネル様の指に胸の頂と下腹部の下を同時に弄られて、身体を震わせながら、高みに昇っていくのが自分でもハッキリと分かるほどだった。


「レオネル様っ、もうっ、んっ、んんっ」


もう少しで絶頂に達するという時に、レオネル様は私の腰を持ち上げ、自分の上に座らせるように移動させた。

そこに当たるものに背筋がゾクゾクとまた粟立つ。


「……あっ、レオネル様……うそ……駄目……あっ、やぁぁぁぁぁっ!」


フルフルと涙を溜めて首を振る私などレオネル様には見えていないように、そのまま一気に熱いもので奥まで貫かれて、私はビクンッと身体を仰け反らせた。

後ろから抱えられた格好で足を左右に大きく持ち上げられて、そのまま激しくそれを打ち付けられた。


「んんっ、あっ、レオネル、さまぁっ、やぁっ」


フルフルと頭を振りながら嬌声を上げる私に、レオネル様はフッと笑った。


「ああ、すまない、ここが途中だったな」


そう言ってレオネル様は後ろから手を伸ばし、胸を揉みしだきながら頂を弄り、もう片方の手で中の質量のせいで勝手に捲り上がったその場所を指の腹で押し潰し、音を立て擦り始めた。


「ダメっ、全部しちゃっ、やぁっ、やだぁっ、やっ」


ビクビクと全身を痙攣させる私を一切容赦せず、激しく突き上げる熱いものに、私の中で滴ったものが絡んでいる。

キツくそれに吸い付くたびに、下腹部が痛いくらいに疼いた。


「やぁっ、もうっ、ダメっ、だっ、やっ、やぁぁぁぁぁぁぁっ!」


その瞬間身体が激しく痙攣して、絶頂に達した。

レオネル様はそれに合わせるように、指で押し潰していたものを激しく扱く。


「ひっ、やぁっ、そ、そっちも、もぅ、だめぇっ」


再びビクビクと痙攣した瞬間、私の中から更に溢れ出した。


「ふっ、どちらも上手に達したな。

いい子だ、リゼ。

さて、君は、ドレスをどうしたい?」


ぐったりとレオネル様の胸に背もたれながら、未だドレスを着用したままだという事に今さら気付いて、それが窮屈に感じて仕方なくなってしまった。


「……あ、暑い、です……ぬ、脱がして、ほし……」


気が付くと思ったままを口にしていて、自分でも不思議と、それを恥ずかしいと思わなかった。


「良い子だ、よく言えたな」


チュッとレオネル様が髪に口づけてくれて、それが妙に嬉しくて、気恥ずかしかった。

フワフワした心地のまま、レオネル様にスルスルとドレスを脱がされていく。

一糸纏わぬ姿になってやっと、私はホッと息をついた。

外はまだ明るく、レオネル様に私の生まれたままの姿をジッと見つめられているというのに、恥ずかしさよりも開放感を感じている自分がいた。


その私をまるで視線だけで犯すように、レオネル様が私の身体を隅々までジッと見つめている。

その視線だけで、身体が火照り、また中から私のものが溢れた。


「……綺麗だ、リゼ」


窓から降り注ぐ光を背に、うっとりとその目を細めるレオネル様の方がずっと妖艶な美しさを放っている。

まだ日も高い内から怠惰に虚楽に耽る背徳感が、そんなものとは正反対の生き方をしてきた私達2人を優しく甘美に包み込んでいくような、不思議な感覚を覚える。


私達にも、そんな奔放な時間が許されているような気がした、少なくとも、今この時だけは……。


「リゼ、それから?君はこれを、どうしたい?」


今だ反り返った固いものを先に当てられて、私はクラクラと目眩を感じながら、コクっと唾を飲み込んだ。

先程達したばかりだというのに、下腹部が貪欲にそれを欲しがっている。

毎晩毎晩、朝まで身体に刻み込まれた。

達したまま激しく穿たれ、すぐにまた達して、それを朝まで………。

私の身体は、レオネル様を欲しがるようにとっくに作り変えられてしまっている。

刻まれた熱は、この先もきっと、冷める事など無いのだろう。


「……レオネル様、優しくして下さい……。

私、先程達したばかりなんです……」


瞳に涙を浮かべて見上げると、レオネル様は何かを我慢するような、苦しげな表情で短く答えた。


「……くっ、分かった、善処しよう……」


そう言って、優しく中にその先を沈める。


「……んっ、あっ……」


そのまま入り口の辺りを擦られて、私はピクンと身体を揺らした。


少しずつ、少しずつ、そこを押し広げ、ゆっくりと侵入してくる。

まるで焦らすようなその動きに、腰が勝手に浮き上がり、ユラユラと揺れた。


「んっ、んんっ、あっ、レオネルさまぁ………」


ギュッと敷布を握りながら、まるでねだるような甘い声を上げる私に、レオネル様はクスリと笑った。


「んっ?どうした、リゼ?

何か、言いたい事があるなら、遠慮せずに言いなさい」


甘やかすような優しい声色に、私の胸がキュンキュンと高鳴り、何かが胸の奥から溢れ出した。

私はレオネル様に向かって両手を広げ、涙をポロポロ流しながら懇願した。


「やっぱり、優しくしちゃだめぇ。

いっつもみたいに、いっぱいしてぇ」


恥ずかしげもなくそう言ってしまった私に、レオネル様がゾクリと身体を揺らし、ユラっとその瞳の奥に獰猛な光を宿した。


「………リゼ、君って人は………。

俺を煽った事を、後悔するんじゃないぞ」


レオネル様の〝俺〟呼びに気付き、獣のスイッチを押してしまった事に気付いた瞬間。


レオネル様の熱いものが最奥を目掛けて私の中を貫き、私はヒュッと喉の奥で息を吸い込んだ。


「ひぃっ、んっ、やぁぁぁぁぁっ」


ギュウッとレオネル様の胸の中に強く抱きしめられながら、私は悲鳴のような嬌声を上げた。

レオネル様の背中に回した手で必死にしがみついて激しい抽挿を受け入れる。


「レオネルさまぁ、んっ、やぁっ」


甘くよがる私に高められるように、レオネル様の動きが激しさを増していく。

レオネル様は耐えられない様子で身体を起こすと、私の膝を持って左右に大きく広げ、はしたない格好にすると容赦なく最奥を穿った。


「やぁっ、レオネルさまぁっ、ひっ、もうっ、やっ、いっ、もうっ、んやぁぁぁぁっ」


ギシギシとベッドが軋む程の激しさに、私はあっという間に高みに昇らされていった。

レオネル様も眉間に皺を寄せ、苦しげな声を出す。


「……くっ、俺もだ、リゼ……。

君の中に子種を、注ぐ。

次は必ず、孕ませてやるから、全部受け止めるんだ、リゼ」


レオネル様の言葉に、私はまた一縷の望みを抱いてしまい、思わず微笑んで、頷いてしまった。


「…………リゼ」


途端にレオネル様の動きが一層激しいものに変わり、私は息も絶え絶えに、ハァハァと短い息を吐いた。


「ひっ、あぁっ、やぁっ、もうっ、ほんとに……いっ、レオネルさまぁっ、やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


「くっ、リゼッ、俺もっ、出すぞっ」


ほぼ同時に絶頂に達し、ビクビクと痙攣する

私の中で、レオネル様の熱いものが大きく膨れ上がり、ドクドクと脈打ちながら熱い刻印を放った。


「………赤ちゃん……できちゃう……」


ビクビクと身体を揺らしながら、ボウッと無意識に呟くと、レオネル様がその瞳をギラリと獣のように光らせた。


「……いや、まだだ。

アレだけやっても出来ていなかったからな。

こんなものでは、まだ足りない……。

君が孕むまで、犯し続けると言った筈だ、リゼ」


まるで獣が獲物を見つけて襲いかかるような、そんなレオネル様のしなやかな美しさに、私はまた、無意識に、うっとりと頷いていた。


「リゼッ、良いんだなっ?」


私の中でレオネル様の熱いものがまた硬く反り返った。

レオネル様は私の足を肩に掛け、まるで逃がさないとでも言うように腰をガッチリと掴んで、ゆっくりと自分の腰を引いた。

そして、入り口スレスレまで引くと、そこから一気に最奥まで貫いた。


「やぁっ、ダメぇっ、イっ……ばっかり、だからぁ、ダメぇっ」


激しく何度も打ち付けられ、私はビクビクと痙攣する。


「リゼ、直ぐに、イった事など気にならなくしてやろう。

イキっぱなしになれば良い、そうだろう?」


ゾクリとする程妖しく微笑むレオネル様に、私はゴクンと息を飲んだ。


ああ、この方に微笑まれるなんて、私はそれだけで、もう……。


胸に満足感が広がると同時に、切なさも込み上げてきた。


私、この方無しで生きて行くつもりなの……?

どうしても、手に入れられないの……?

こんなに、愛しているのに。



「あっ、レオネルさまっ、やぁっ、おくっ、あたって、やぁっ、やあぁぁぁぁっ」


胸に秘して言えない言葉の代わりに、私は一層甘く、レオネル様の与えてくれる快楽に喘いだ。


「リゼ、可愛い、俺のリゼ……。

俺にそんなに絡みついて、締め付けてきて、いやらしい子だ。

奥が良いのか?もっとここに欲しいか?」


ガッガッと最奥を穿つ凶悪な動きとは裏腹に、甘く優しい声でそう聞かれて、私は涙をポロポロと流した。


「おくっ、んんっ、い、いいっ、おく、いいのっ」


私の喘ぎにレオネル様は恍惚の表情を浮かべ、掴んでいた腰をグッと浮かせると、更に最奥に熱いものを打ち込んだ。


「レオネルさまぁ、くださいっ、レオネルさまの、子種、中にいっぱい……あっ、ダメっ、また、いっ、私だけ、やぁっ」


レオネル様はガツガツと奥を穿ちながら、満足気に笑っている。


「安心しろ、いくらでも注いでやる。

だから気にせずイキたいだけ、イけ、リゼ」


そう言って一層激しく腰を打ち付けられて、私はその激しい抽挿に悲鳴のような嬌声を上げた。


「やぁっ、もうっ、いっ、ダメぇっ」


目の前に火花が散り、チカチカと白み焦点を失った瞳からポロポロと涙が流れた。

ビクビクと激しく痙攣して絶頂に達した私を、レオネル様は何も無かったかのように激しく穿ち続けた。


「あっ、ひっ、やぁっ、もぅっ、こわれる……こわれちゃう……レオネルさまぁっ」


助けを求めるような私の叫びに、レオネル様は悠然と微笑むと、ゆっくりと私の額に口づけた。


「壊れればいい………リゼ……。

俺はとっくに、君に狂っている……」


強過ぎる快楽の濁流に飲まれ、前後不覚状態だった私には、その言葉を認識出来る筈もなく。

レオネル様から与えられる激しい快感を、ただただ嬌声を上げ続け、受け止めるしか出来なかった………。


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