episode.11

「なるほど………君は私との婚姻を望まず、子も望まない……と、いう事だな……?」


心が凍り付きそうなくらいの冷たい声に、私は少し震えながら頷いた。


「……はい、その通りです」


突き刺すようなレオネル様の視線が胸を抉るようで、思わず少し目を逸らしてしまった。


「では君は、どんな気持ちで今日まで私に抱かれてきたのだ?

私と婚姻する気があるからだと、私は思っていたが………」


レオネル様の言葉に、私はハッとして顔を上げた。


「その事ですが、本日からは避妊の魔法も追加付与して頂けませんか?

やはり、今後の可能性は無い方が宜しいかと思いますので」


出来るものなら自分でかけたいけれど、私には関係無いと思っていたので、師匠の魔法授業をご辞退してしまったのよね………。

こんな事になるなら、ちゃんと受けておけば良かったわ。


私が自分の失態に顔を歪めていると、レオネル様が急に笑い出して、私はビクッと身体を揺らした。


「ハッハッハッハッ!君は、身体だけは私に今まで通り差し出すというのか?

その心は渡さないままっ!」


初めて見るレオネル様の反応に、動揺を隠せない。

だけどその言葉に、愚かにも私は、ほのかな期待を持ってしまった。


「あの……それをご所望であれば………」


レオネル様が私の身体だけでは無く、心も求めてくれるなら………。

一瞬、性懲りも無く芽生えた期待は、直ぐにレオネル様によって打ち砕かれた。


「そんなものは、要らない」


ギリッと睨まれハッキリとそう言われて、私の心が凍り付いていく。

馬鹿ね、私は。

まだ何を期待していたのかしら。

レオネル様にあるのは、私への責任感と、初めて覚えた情欲だけ………。

それだけなのに………。


グッと込み上げる涙を堪えて、下を俯く私を、レオネル様が荒々しく抱き抱えた。


「あ、あのっ、レオネル……様?」


驚いて見上げた先に、激昂したレオネル様の顔があり、私は喉の奥をヒュッと鳴らした。

瞳に浮かんだ冷酷な焔が、私を焼き尽くそうと狙うようにユラリと揺れている。


そのまま荒っぽくベッドにドサっと投げ捨てられ、私は恐怖で身体をガタガタと震わせた。


「君がそういうつもりなら、私も君に容赦はしない。

君は……俺の子を孕むまで、ここで俺に犯され続けてもらう………」


ギラギラと獣のようにギラつく目に、普段は使わない〝俺〟という一人称………。


今の自分の状況が理解出来ない………。

だけど一つだけ分かるのは、私はレオネル様の逆鱗に触れた、という事だけ。


レオネル様は私の着ていたローブを荒っぽく剥ぎ取ると、寝着の襟を掴み、物凄い力で簡単に破り裂いてしまった。

ビリビリィィィィィッと布の裂ける音を聞きながら、私はヒッと小さな悲鳴を上げる。


「レ、レオネル、様…………?」


真っ青な顔でガタガタ震える私の肩をレオネル様は乱暴に掴み、ベッドに押し付けた。

そして荒々しく胸を掴むと、それを揉みしだき始める。


「いっ、痛い、です……レオネル様……」


ギュッと掴まれた胸の痛みに顔を顰めると、レオネル様は掴んだ私の胸に噛み付いた。


「あっ、いっ………た………」


噛まれた部分から痛みが広がってゆく。

目尻に涙が浮かんだ時、レオネル様が噛み付いた頂を音を立て吸い上げた。


「…………あっ………」


痛みと共に軽い快感が走り、脳が矛盾した感覚に一瞬真っ白になった。

そこに吸い付いたり舌を這わせたりを繰り返される内に、知らずに腰がユラユラと揺れて、下腹部がキュンと疼いた。

もう片方の先は指で摘まれ嬲られて、快感を与え続けられる。

下腹部から自分のものが溢れる感覚に気付いて、私はカッと顔を赤くした。


こんな風に乱暴にされても、レオネル様に反応してしまう自分の身体が恨めしい。

今のレオネル様は紳士的では無いけれど、私の身体も淑女とは言い難かった。


「………んっ、あっ………」


出したくは無いのに、勝手に声が漏れる。

悔しくて手の甲で口を押さえても、くぐもった喘ぎに変わるだけだった。


レオネル様の手が肌を伝い、ゆっくりと下腹部に伸びる。

私はますます顔を赤くして、抵抗しようと身を捩った。

だけど、男性の力には敵わず、易々とその場所への侵入を許してしまった。

レオネル様の角張った長い指がそこを分け入り入り口を撫でると、溢れ出るものに気が付いて、レオネル様はクツクツと笑った。


「……随分といやらしい身体をしているんだな、リゼ。

君の身体は、無理やりに君を組み敷く男にも反応するらしい」


低い声で耳元でそう囁かれて、私は真っ赤になりながらキッとレオネル様を睨んだ。


「おやめ下さい。貴方のような高貴なお方が、このように女性を辱めるなど………あっ!」


その瞬間、強くそこを押し潰されて、私は高い声を上げた。


「俺が辱めるのは君だけだ、リゼ。

君は俺にこの身体を差し出すのだろう?

それなら俺の好きにさせてもらう。

この身体に思う存分子種を注ぎ、君が孕むまで犯し続けると、俺は先に言っておいた筈だ」


冷徹なレオネル様の声に、涙が滲んだ。

何故私にそんな事をするのか、訳がわからないまま、そこん指の腹で強く擦られて、強制的に快感を引き出されてゆく。


「……あっ、やめ……て……あっ、んっ」


レオネル様によって快楽を教え込まれた身体が、あっさりとその手に堕ちていく事に悔し涙が滲んだ。


私のもので濡れたその場所が卑猥な音を立て、私は耐え切れずに耳を両手で塞いだ。


「どうした?卑劣な行為に反応する自分の身体が受け入れられないか?

それなら俺が君に教え込んでやろう。

君の身体が俺にどう反応するのかを……」


そう言ってレオネル様はそこを捲り上げ、剥き出しになったその場所にたっぷりと私から溢れたものを塗りたくる。

そしてそこを押し潰し、いやらしい音を立て扱き始めた。


「いやっ、やっ、やめっ、やぁぁっ」


強い刺激にガクガクと腰が震え、更にそこから溢れ出す。

無理やりに引き出される快楽はあっという間に私の全身を駆け巡り、甘い疼きに変わっていった。


「やっ、駄目……やぁぁっ、ダメっ、ダメっ」


ビクビクと身体が激しく震えて、私は呆気なく絶頂に達した。

毎夜レオネル様に激しく抱かれ続けてきた身体は、レオネル様の与える快感に貪欲に縋りつき、あっさりとその身を差し出す。


「まだだ、君の身体が求めているのはこんなものじゃ無い」


そう言ってレオネル様は私の太腿を左右に大きく開き、剥き出しになったその場所にしゃぶりつくように舌を這わせた。


「やぁぁっ、いやっ、やめっ、やあぁぁっ」


そこに吸い付くと音が出るほど激しく吸われて、私は霰もない嬌声を上げ身を捩った。


「やぁっ、ダメっ、や、めてっ、あっ」


ビクビクと身体が激しく痙攣する。

達し続ける事に耐え切れず、両手でレオネル様の頭を押し退けようとしても、ビクリとも動かない。

そのまま舌と口でその場所を凌辱され続けて、私はピクピクと身体を震わせた。


「……ひっ、いっ、やっ……」


焦点の合わない目から涙がポロポロと流れていく。

ガクガクと震え続ける身体が、壊れたようにレオネル様の与える快楽を受け入れ続けていた。


そして更に一際強く吸われた瞬間、ビクゥッと身体が激しく仰け反って、目の前にチカチカと火花が散った。


「んっ、ひっ、やっ、やぁぁ……」


レオネル様がそこから顔を離しても尚、ピクピクと身体を震わせ、そこから溢れさせる私に、レオネル様は満足気にニヤリと笑った。


「まだこれからだと言うのに、もう壊してしまったか?

まだまだ壊して、俺から離れられない身体にしてやろう」


レオネル様は愉しげにそう言うと、既に固く反り返った熱いものを、入り口に当てがった。

そして中に押し入ると、私の立てた膝を押さえ付け激しく腰を打ち付けた。


「やぁっ、ひっ、んぁっ、やぁぁぁ」


ビクビクと身体が痙攣すると同時に、下腹部が痛いくらいにギュッギュッと疼く。

私のものが今まで以上に溢れ出して、敷布を冷たく濡らしていった。


立て続けに腰を打ち付けられ、悲鳴のような嬌声を上げる私の腰をレオネル様は掴むと、グイッと浮かせて、不安定な体勢のまま、更に激しくそれを続けた。


「やぁっ、あっ、ひっ、いっ、やぁっ」


激しく熱いもので中を擦られ、快感に飲まれて息も絶え絶えな私を更に追い込むように、レオネル様は足をグイッと私の顔の左右に押し付け、自身は中腰で立ち上がったような体勢で、ガッガッと最奥を穿ち始める。


「ひっ、おくっ、やぁっ、やめてぇっ、いやっ、やぁぁぁぁっ、いっ、ひっ、やぁぁぁぁっ!」


絶頂に達してガクガクと痙攣しても、レオネル様の動きは一切緩まず、ただただ無慈悲に最奥を穿ち続けた。


「ここも随分といやらしくなったな、リゼ。

痙攣しながらキュウキュウと俺に吸い付いてくる。

そんなに気持ちいいのか?

ここを無理やり犯されて、こんなに感じるとは………。

欲しいのだろう?俺の子種が。

吸い付いて搾り取ろうとしているのが、自分でも分かるんじゃないのか?」


言葉でも辱められながら、私にはそれに抵抗する術がもはや存在していなかった。

絶頂に達しても尚責められ続け、脳が強過ぎる快楽にもはや機能を失い、言い返す言葉さえ浮かばない。

悲鳴のような嬌声だけが、唯一許された言葉となった。


「ひっ、もっ、やぁっ、またっ、またいっ、やっ、やぁぁぁっ」


ガッガッと穿ち続けられ、私はその間に壊れたように何度も何度も絶頂に達した。

私の中が熱いものに吸い付く度、下腹部もギュゥッと同じように疼いた。


「くっ、キツイな………。

食い千切られそうなくらいだ。

リゼ、俺ももう、限界、だ。

君の1番奥に子種を注ぐから、しっかり孕めっ」


レオネル様の動きが更に激しくなって、私はもう意識を保てないくらいに脳が痺れてきた。

ガッガッガッガッと最奥を穿たれ、そこにゴッゴッと熱いものがぶつかる度に、目の前に火花が散る。


「リゼっ、くっ」


呻くようなレオネル様の声の後直ぐに、中でそれが膨れ上がり、最奥に熱い刻印が放たれた。

脈打つそれを感じながら、私はハァーハァーと荒い息を吐く。


これで………解放、される?


そう安堵した瞬間に、グルンと視界が反転して、私はうつ伏せの体勢に変えられていた。


「ちゃんと腰を上げなさい、リゼ。

まだまだ終わらない、君が俺から離れられない身体になるまで……」


冷酷なその声に、私は涙を流しイヤイヤと首を振った。


既に再び私の中で反り返っている硬いものを、レオネル様は後ろから激しい音を立て最奥に打ち付けた。


「ひっ、やぁっ、もっ、む、むりです……やぁぁぁっ」


乾いた音が響き、後ろから激しく腰を打ちつけられ、私はボロボロと涙を流した。


「あっ、ひっ、いっ、やっ、やぁっ」


打ち付けられる動きに合わせて、泣きながら喘ぐ。

敷布を掴む力さえ無いまま、ユサユサと身体を揺らされ、好き勝手に犯され続けた。


その時、レオネル様がガリッと肩に噛み付いて、私は短い悲鳴を上げた。

痛みで意識を取り戻した瞬間、激しい快感が身体を駆け巡り、私はまたレオネル様の与える快楽へと引き摺りこまれていった。


「気を失うなど、許さない。

君には誰が君を犯し、その腹を孕ませるのか、ちゃんと覚えていてもらわなければ困るからな。

リゼ、ちゃんと俺を感じろ。

君を犯し、子を孕ませる俺を、全身で感じるんだ」


まるで私の中に自身を刻み込むように、レオネル様は激しく何度も後ろから私を突き上げ続けた。


水音を響かせ腰を打ち付けられる度に、自分の中の何かが一つ一つ壊れていく音がした。


「あっ、ひっ、レオネル、さまぁっ、あっ、奥、ダメ……やぁぁっ、またっ、いっ、やあぁぁぁぁっ」


ビクビクと背中を仰け反らせると、先程噛み付いた跡に、レオネル様が愉しそうに舌を這わせた………。


獣に貪られる夜が、今夜も更けていく……。

だけどそれまでとは何かが確実に違う。

熱い身体とは裏腹に、心の底が冷え付くような夜だった………。



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