episode.8

「綺麗だ、リゼ……」


レオネル様の舌が耳の奥に侵入して、音を立て鼓膜を揺らす。

同時に胸をスリスリと撫でられ、私は身体を震わせた。


「あっ、レオネル様、も、もう……」


おやめ下さいという言葉が、何故か喉に引っかかって出てこない。

レオネル様はクスリと笑って、太腿に手を伸ばし、そこをスルッと優しく撫でた。


「……もう?どうしたいんだ、リゼ?」


低く艶っぽい声で耳元で囁かれ、私はビクッと身体を震わせる。


「あっ、やっ、は、恥ずかしいので、もう……」


やはり、やめて欲しいとは言えない。

自分で自分の気持ちが分からなくなり、困惑して涙がポロポロと流れる。


「泣くんじゃない。まだ慣れないだけだ。

これから何度も身体を合わせれば、君もどうして欲しいか分かるようになる」


そう言ってレオネル様の手が太腿の間に滑り込んでいき、下着の中に差し込まれた。

ビクンと反応して身体を硬直させる私を安心させるように、レオネル様が額に口づけてくれた。


「大丈夫、痛い事はしない。

昨日はココも十分に解せてやれなかった。

辛かったろう、本当にすまない」


何故レオネル様が謝るのかと思った瞬間、レオネル様の指が動いて私はビクンッと仰け反った。


「やはりリゼは感度がいいのだな。

さっきから身体が震えっぱなしだ。

そうやって私を煽るとは、君は悪い子だ」


低く耳元でそう囁かれて、下腹部が疼く。


「んっ、んんっ、はぁっ、んっ」


自分でも恥ずかしいくらいの甘い声が漏れて、私は敷布をギュッと握った。

勝手に腰が揺れて、レオネル様の指の動きを追いかけようとする。


「ああ、凄く濡れてきた……。

可愛いよ、リゼ、ここをこんなにして」


レオネル様の囁きに、カッと頭が茹で上がりそうになる。

その指の動きに夢中になって、はしたなく反応している事が恥ずかしくて堪らない。


「あっ、もうっ、レオネル様、お許し、下さい……」


どうしたらいいのか分からず真っ赤になった顔を両手で隠すと、レオネル様のクスリという小さな笑い声が聞こえてきて、擦られているその場所を指の腹で押し潰されてしまった。


「やっ、ダメ、そんなっ……」


そのまま指でその場所を弄られて、私は一層高い嬌声を上げた。

我慢出来ず再び敷布を握ると、レオネル様はクスクスと笑う。


「私から顔を隠してはいけないな、リゼ。

君の可愛い顔が快楽に蕩けるさまを、ちゃんと私に見せなさい」


そう言って一層激しく擦られて、剥き出しの快楽が全身を襲った。


「やぁぁっ、ダメ、ダメェッ」


身体を仰け反らせる私に、レオネル様はゴクリと喉を鳴らした。


「まだ慣れず、熱ばかり溜まって辛いだろう。

私が今楽にしてあげよう」


そう言うと、レオネル様は身体を下にずらして私の太腿の間に顔を埋めた。


「……あっ、やっ、レオネル様、ダメ、やぁっ、やめてっ」


レオネル様の舌が分け入り、その場所を舐め始めた。

ゾクゾクするような快感が背筋を走り抜け、足を突っ張り、その快感に耐える。


最も恥ずかしい場所を舌で責めらて、もう訳も分からないくらいに羞恥に襲われた。

それと同時に快感が全身を駆け巡り、突っ張った足を痙攣させる。


子犬がミルクを飲むような水音が響き耳からも犯されているようで、目尻に溜まった涙がポロポロと流れていく。

レオネル様にそんな所を舐められていると思うと身悶えそうに恥ずかしいのに、下腹部が疼いて溢れてしまう。

気付けば全身の意識がそこに集中して、与えられる快楽にどんどんと溺れていった。


「んあぁっ、はっ、やぁっ、もうっ」


身体が跳ね上がり、ガクガクと震えが止まらない。

先程までとは比べ物にならない快楽に襲われ、突っ張った足の痙攣が止まらなくなった。


レオネル様がそこを吸い上げるいやらしい音が響く。

その音と私の嬌声が重なり、隠微な雰囲気を醸し出してい。


「やっ、ダメっ、んっ、もうっ、ダメぇっ、そこ、そんなにしたら、私、もうっ」


ビクンッと身体が仰け反り、しとどに溢れ出して全身の痙攣が止まらない。

目の前がチカチカと白んで、下腹部から迫り上がってくる甘い疼きが胸の中で広がっていった。

絶頂を達して涙が止まらない私を、まるで更なる快楽に突き落とすように、レオネル様の舌がなおも追い込んでいき、私はもう悲鳴のような嬌声を上げた。


「あっ、やっ、ダメダメっ、私、もうっ、やぁっ、やめてっ」


身体が激しく跳ねて全身を痙攣させ、目の焦点を失ってやっと、レオネル様はゆっくりとそこから顔を離してくれた。


「トロトロだ、リゼ……気持ちよかったようだな。

篭っていた熱が解放されて、少しは楽になったか?

ここがまだ物欲しそうにしているが、何が欲しい、リゼ?」


そう言って、レオネル様はその場所に指を挿入させた。

それに私はビクンッと身体を震わせる。


「あっ、レオネル様……もう……」


そのまま指で優しく擦られて、私は焦ったさに身悶える。

昨夜刻み込まれたレオネル様の熱を身体が欲して、どんどんと熱が上がっていく。

下腹部が痛いくらいに中を締め付けた。

欲しいものは分かっているけれど、私の唇はそれを素直に言葉に出来ない。

非効率的だけど、身体をくねらせ、レオネル様に気付いてもらおうと熱い吐息が無意識に溢れる。


「リゼの可愛い口から聞きたかったのだが、仕方ない。

淑女として慎ましやかさを尊んできた君には、まだ無理だったようだ。

リゼ、君の欲しいものを今夜もあげよう。

私もとっくに我慢の限界だ」


そう言って、レオネル様は私の足を高く持ち上げた。

昨夜あらゆる角度でそれを受け入れ続けた私は、ゾクリと背中に冷たいものが流れ、抵抗するように身を捩った。

愛撫で散々達した後に、その角度からレオネル様を受け入れるのは無理だと、まだ残る冷静な部分が警鐘を鳴らす。


そんな私を見下ろしながら、レオネル様はゆっくりと自分の唇を舐め、その瞳を獣のように妖しく光らせた。


レオネル様の硬く反り返ったものが当たり、私は喉の奥でヒッと小さな悲鳴を上げた。


「……ダメ……レオネル様、待って下さい……」


涙を浮かべイヤイヤする私に、レオネル様が首筋をゾクリと震わせるのが分かる。


「……あっ、いや、いやぁっ!」


抵抗虚しく激しい水音を立て、レオネル様のそれが私の最奥まで一気に貫いた。


甘い衝撃が下腹部を揺らし蜜が溢れ出した事を確認して、レオネル様はクツクツと愉悦の表情を浮かべ、私に見せつけるように、ゆっくりと腰を引く。

イヤイヤと懇願する私を、目を細めて穏やかに見つめながら、再び激しく最奥を貫く。


「んっ、やぁっ、あっ、んんっ」


何度もそれを繰り返し、次第に腰を打ち付ける速度を早めていく。

気が付けば激しく速い動きに変わり、私は必死で敷布を握りしめ、狂ったような嬌声を上げた。


「くっ、リゼ………そんな風に俺に吸い付いて締め付けてくるなんて、よっぽどこれが気に入ったのか。

もっと奥までしてやるから、思う存分よがると良い」


レオネル様はそう言うと、高く上げた私の足を折り曲げて、左右に大きく広げた。

淑女としての尊厳など微塵も無いその格好に、私はイヤイヤと涙を流す。


その体勢でレオネル様のものを打ち込まれると、最奥に何度も何度もコツコツと当たり、私は身体を仰け反らせ、悲鳴のような嬌声を上げた。


「んっ、ひっ、あぁっ、やっ、んっ」


壊れたレコードのようにただただ嬌声に喘ぐ私を、レオネル様が満足そうに見下ろしている。

その目が獲物を狙う猛禽類のようにギラリと暗闇に光り、私は泣きながら許しを乞うように何度もイヤイヤと頭を振った。


レオネル様が左右に広げた私の足を持ち上げ、顔の横につくくらい私の身体を折り曲げる。

昨夜もこの体勢で身動き一つ取れず、頭がおかしくなるくらい責め抜かれた記憶が蘇り、涙が溢れて止まらない。

それなのに下腹部は期待するように疼いて、敷布を濡らしていった。


それを確認したレオネル様はニヤリと笑うと、狙いを定めるように中に自分のものをを押し付け、音を立て激しく腰を打ち付けてきた。


「ひっ、やぁっ、んっ、んんっ」


悲鳴のような嬌声をあげながら、目の前が涙で霞んで何も見えない。

薄っすらと見えるルオネル様の輪郭が、凶暴な獣のように私に襲いかかってくる。


ああ、私今、この世で最も美しい獣に貪られているんだわ。

どうせなら、骨までしゃぶりつくして欲しい………。


麻痺した頭では、もうまともに何も考えられない。

愚にもつかない妄執が私を捉えて、この身体を熱くしていく。



私が、ずっとお慕いしてきた方……。

遠くからでもそのお姿を拝見した日は、心臓が飛び上がるほど嬉しかった。

初めてお話をしたあの日の事を、今でも鮮明に覚えているくらいなのに。

その、ずっと好きだった方に、今こうして抱かれている事がまだ信じられない………。


そんな私に自身を刻み込むように、レオネル様は最奥を穿ち続けた。


「あぅっ、レオネルさまぁっ、わ、わたしっ、もうっ、ダメェッ」


下腹部に溜まった熱が一気に弾けて、私の全身に行き渡った。

全身を痙攣させ絶頂に達した私を、レオネル様がそれでも貫き続ける。


「リゼ、中をそんなに痙攣させて達しては……駄目だ、俺ももうっ、くっ」


狂ったように中を穿たれ、私はユサユサと揺れながら、その衝撃にまるで空気を求めるようにハクハクと口を開いた。


激しい動きが急に止まり、レオネル様の熱いものが私の最奥に熱い刻印を放つ。

ドクドクと注がれる熱が私を中から溶かしてしまいそうで、それでも良いと白濁とした意識の中で、そう思った。


「……リゼ………」


レオネル様が私をギュッとその胸に抱きしめ、まるで壊れ物のように、優しく髪を撫でて、汗ばんだ額に口付けてくれた。


「………レオネル……しゃまぁ……」


上手く呂律が回らず、幼い子供のようになってしまった私の言葉に、レオネル様がビクンッと身体を震わせた。


「………まだ俺を煽るとは、リゼはよっぽど俺に喰らい尽くされたいらしい………」


「……ふぇ?あっ……」


レオネル様の言葉の意味を理解するより早く、私の視界がグルンと回った。

軽々とうつ伏せに体勢を変えられた私は、まだ何が起こったのかが分からない。


その時、まだ私の中にあったレオネル様のものが熱を取り戻し、そこを押し広げ再び硬く反り返った。


「……あっ、えっ、えぇっ……やっ、ダメっ、もうっ、レオネル様、お願い、やめて、下さい……もっ、無理ぃ………」


獲物に食らいついた獣にそんな事を言ったところで、聞いてもらえる訳が無い。

食らいつかれたら、後はただ貪られるだけ………。


フルフルと頭を振って懇願する私を嘲笑うかのように、硬く反り返ったものが後ろから激しく私を貫いた。


「やぁっ、だめぇ、達したばっかり、なのにぃっ、やっ、ひっ、レオネル、さまぁっ」


乾いた音が部屋に強く響く。

腰を持ち上げられ後ろから激しく突かれながら、私は力無くユサユサと揺らされ続けた。


「あっ、んっ、んんっ、んっ……」


その揺れに合わせて、もはや壊れたカラクリ人形のように喘ぎ続ける以外、もう私に出来る事など無い。



「リゼ、君は、もう俺しか受け入れられない……。

だから俺が責任を持って、君に喜びを教えよう。

俺に抱かれる、喜びを………」


クツクツと楽しそうに笑うレオネル様の声が遠くに聞こえる。

焦点の合わない目で、ただ嬌声を上げ続け、レオネル様と繋がった場所から恥ずかしいものを滴らせ、私の意識はキツイくらいに疼く下腹部に支配されていく。


「あぅっ、ひっ、レオネル……さまぁ」


激しく腰を打ち付けられながら、今までのリゼ・スカイヴォードが壊れていく音がした……。

壊れた先にある、新しい自分を、私は果たして受け入れる事が出来るのだろうか……。


レオネル様に与えられる快楽に溺れ、だらしなく涎を垂らす私を、どう受け入れればいいのだろう………。



獣に捕らわれ、喰らい尽くされる中、私は何を捨て、何を得たのだろうか……。


繰り返される激しい動きに喘ぎながら、私はそんな事を漠然と考えていた…………。



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