第20話 ツガイ契約
目が覚めると、ヒバリくんがいた。
真っ白の部屋に、ヒバリくんがユル吸いをしているところだったのか顔が近くにあり、舌舐めずりをするヒバリくんは、ものすごくワルワルで格好良かった。
「ユル、ちゃんと起きてるかい?」
「う、うん。おはようございます」
「おはよう。眠る前の事は覚えてる?」
「勿論!ヒバリくんに八重歯があって、格好良くて、僕はもうヒバリくんから離れたくない。ヒバリくん、ヒバリくん、大好きです。ツガイになってほしいです」
頑張って目を合わせながら気持ちを伝えると、ヒバリくんの髪を引っ張りすぎていたのか、ヒバリくんの顔が僕の顔に近づいてきて、そのまま唇が触れ合う。
「ッん!?」
「喜んで。俺も愛してるよ、ユル」
そうして再び口づけをされると、ヒバリくんの舌が侵入してきて、呼吸の仕方が分からなくなる。
しかし、口づけをやめてくれないヒバリくんに、きつく抱きしめられた僕は、ヒバリくんに身を任せる事しかできなかった。
何度も口づけを繰り返し、漸く解放された僕は、肩で息をしながら枕に顔を埋める。
「ユル、ツガイになる方法は知ってる?」
「し、知らにゃい」
「知らにゃいか。知らにゃいなら教えてあげようか」
うっ……ヒバリくんめ、わざと僕の真似をしてるな。
噛んじゃったものは仕方ないけど、僕の顔にはヒバリくんの匂いがする枕があるから、噛んじゃったのはヒバリくんのせいとも言える!
「ツガイには、結婚と同じように契約があるのは知ってるかい?」
「なんとなく?何かがあるのは分かる気がするけど、教えてもらった事はない」
「ツガイの契約は命そのもので、どちらかが死ねばもう一方も死ぬ。逆に、寿命は長い方につられる分、俺のような不老のツガイになれば、ユルも不老になる」
「うんうん……ん?待って、ヒバリくんって不老なの?」
さすがのエルフも、不老は違うよね?だって、不老なんて老いて死ぬことはないってことだよ。
いくらなんでも、エルフだって老いるものだもん。
でも、ヒバリくんが不老なら、死を迎える時は病気か命を奪われるかだ。
ヒバリくんって、いったい何歳なんだ。
「ツガイ契約をした後に、俺については教えてあげる。それよりも契約方法だけど、簡単に言えば交わりと血を使った魔力交換だ」
「交わり……ヒ、ヒバリくんと僕が……優しくするね」
「大丈夫、俺が優しく抱くから安心してな」
なんで僕が抱かれる方なの?僕だってちゃんとできるよ。
「抱くのは僕じゃ駄目なの?」
「ユルは緊張で眠らない自信がある?気を失わない自信は?」
「うっ……ないです」
今だって顔を合わせられないのに、僕がヒバリくんを抱くなんて無理だった。
「それに、俺はユルを抱きたい」
「ひゃッ!」
突然ヒバリくんの色気のある声で耳打ちをされ、更に耳を甘噛みされてしまった僕は、変な声が出てしまう。
それと同時に体の力が抜けてしまった僕は、ヒバリくんの膝の上にうつ伏せの状態で移動させられ、羽づくろいをしてもらう事になった。
ヒバリくんの匂いって、不思議と落ち着くんだよな。
好きだなって思うけど、今までは推しとして好きだと思ってて……今思うと、違かったんだなって思う。
僕はずっとヒバリくんが好きだったんだ。
たぶん、一目惚れなのかな。
いくら好みでも、自分から名前を訊きに行く事なんてなかったし。
「ユル、血を使った魔力交換だけど、ユルはどの位置にツガイの印が欲しい?」
「ツガイの印?魔術紋みたいなもの?」
「そう。印を通して魔力の交換が可能になるんだ。いつでも受け渡しができて便利になる」
それは便利だ。
何かあった時にも簡単だし、僕のいらない魔力をあげる事だってできる。
「それなら、舌がいいな。ヒバリくんのキス、気持ち良かった。それに、ヒバリくんの口が開く度に、チラチラ見える方がドキドキする」
「ドキドキするのは大丈夫なのかい?」
「大丈夫じゃないけど、大好きな旦那様にはドキドキしたい」
「ンッ……可愛い。俺はユルの旦那様?」
ヒバリくんが僕の頭を撫でてくるため、こっそりヒバリくんの様子を見てみると、ヒバリくんは熱を持った瞳で僕を見つめてきていた。
碧眼は紅色に染まり、八重歯が牙のように尖っているヒバリくんに、僕は固まるしかなく、ヒバリくんは僕の首元を吸ってくる。
「ユルは可愛すぎる。誘ってるとしか思えない」
「い、いいよ。僕は早くツガイになりたい」
そう言った瞬間、ヒバリくんの背中から四つの翼がバサリと広がり、白い羽根が部屋に舞った。
ヒバリくんが何者なのか分かるかもしれないという下心はあったが、まさかヒバリくんにも翼があるとは思わず、口を開けて固まってしまった。
そんな僕に、ヒバリくんは激しく口づけをしてきて、ベッドに体を押し付けられると、服を乱されていく。
「んんう……ヒバリ、くん」
「可愛い、ユル。安心して発情期を迎えられるように、ツガイになろう」
そう言ったヒバリくんは、僕の舌に牙を押し当てる。
血を舐めとるように舌と舌を絡めると、次は僕に見えるように自身の舌にも牙で傷をつけ、舌と舌をゆっくりと深く絡ませてくる。
気持ちいい……もう駄目だ。
ヒバリくんのことしか考えられない。
格好いい、大好き……僕のツガイ。
僕だけの旦那様……早く、早く欲しい。
そこからは意識が朦朧としていたが、ヒバリくんと繋がったのは確かで、ヒバリくんの格好いい肉体と、余裕のない表情だけはしっかりと目に焼き付けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます