第30話 メイドインアビスと天国大魔境
最近のアニメや漫画でもっとも感銘を受けたのはメイドインアビスと天国大魔境だ。
両作品には共通のモチーフがあって、それは
「天変地異が起きるとき、無垢なものがもっとも傷つく」
というものだ。
アビスにおけるナナチとミーティ、天国~の宇佐美とパートナーのエピソードに、その主題は強く現れている。
とくに天国~の宇佐美とパートナーの話は、その後原作でさらにひとひねりあって、これ以上ない悲劇の度合いがさらに深まるからたまらない。
自分はアビスも天国~もアニメから入ったが、この二つのエピソードはそれぞれ一度しか見ていない。
見たら悲しみで精神的におかしくなるから二度と見られないのである。
アビスや天国~がこういう主題をあつかうのは東北大震災の影響が大きいと思う。
「天変地異が起きるとき、無垢なものがもっとも傷つく」
という現実を、われわれはあのとき嫌になるほど見せつけられた。
だから誠実な作家ほど、この主題から逃れられない。
それから天国~には「天国」と呼ばれる学園が出てくる。
外界と隔絶した学園で、無垢な少年少女が平和に暮らしている。
この学園はおそらく地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教にインスパイアされて構想されたと思う。
大槻ケンヂの『新興宗教オモイデ教』はオウム事件を予言した書として名高いが、天国大魔境は現実に事件が起きてから三十年後に咲いた花のような気がする。
美しく壮大で、悲しい花だが。
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