第29話 映画『ルックバック』を見て
アマゾンプライムで映画『ルックバック』を見た。
色々いいところがあるが、引きこもりの天才京本に絶賛された藤野が雨に打たれながら高揚して歩くシーンがよかった。
ここは原作でも第一のクライマックスで、自分は映画『雨に唄えば』のように藤野が雨に打たれながら踊っていると本を読んで思った。
しかし映画の行進風に手足を大きく振る藤野の歩き方もよかった。
藤本タツキは異常なまでの天才で、漫画全体でもっとも印象に残るこのシーンは、実はたった三コマしか描かれていない。
1雨の中手足を振って歩く藤野
2膝を高くあげる
3二ページ見開きの大ゴマで雨中で舞う藤野を描く
前後の空白が大きい絵で、その空白に読者の想像力が否応なく刺激される。
後半のSF的展開もすごいが、この作品は明確に藤本タツキの自伝をベースにしている。
ただ男である作者が自分を仮託したキャラが、藤野と京本という二人の女性キャラというところが天才の天才たるゆえんである。
こういう発想で描かれた自伝はそんなにない。
映画を見ながら何度も
「おれがもっと若かったらここで泣いてたな」
と思った。
実際泣いている若者はたくさんいる。
傑作である。
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