第28話 ボクシング 井上拓真と堤聖也の試合

先日WBAバンタム級タイトルマッチ王者井上拓真と挑戦者堤聖也の試合が行われた。

自分は自分と同じ熊本出身の堤を応援したが、序盤は明確に井上優勢で最初の三ラウンドはすべて井上にポイントをつけた。

四ラウンドから流れが変わって堤がポイントを取り返し、十ラウンドに堤がダウンを奪ってこれが試合を決定づけた。

自分のジャッジは114-113で堤だった。

公式ジャッジは114-113、115-112、117-110と三者ともに堤だった。


印象的だったのは堤が根性で悪い流れを変えたところだ。

打たれても空振りしてもひたすら手を出し続ける。

これができるボクサーはめったにいない。

この愚直な戦法が功を奏し、テクニックに勝る井上がロープに詰まる場面が増えた。

根性で劣勢をひっくり返すなんて、昭和の高橋ナオトの試合以来ひさしぶりに見た。

井上は鋭いアッパーや巧みなボディワークは兄尚弥に劣らないがジャブが少なすぎて、手を出し続ける堤に中に入られてしまった。


ダウンシーンも強烈だった。

井上がチラッと自陣のコーナーに目をやった瞬間、堤が走って襲いかかり、左フックを当ててダウンを奪った。

日本人のボクサーがキラーインスティンクス(打倒本能)を爆発させる場面を見れて感動した。

打たれてもかわされても前に出る。

相手のスキを突いて一気に襲いかかる。

そんな堤の戦い方があしたのジョーみたいで見ていて楽しかった。

年間最高試合に選ばれるであろう名勝負だった。


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