第25話 矢口高雄『釣りバカたち』
矢口高雄の短編集『釣りバカたち』を読んでいる。
2巻の「カジカの想い出」がいい。
カジカの夜突きは日本の夏の風物詩で、ガラスをはめた舟形の箱めがねを水面に浮かべ、カンテラ(携帯用の石油灯)の光で川底を照らしながら箱めがねをのぞき込み、ヤスでカジカを突くという漁法である。
それを描いた見開きの絵がすばらしい。
少年と父親が夜の川で田植えのように腰を折り、川底を熱心にのぞき込んでいる。
カンテラの光が幻想的で、真夏の夜の夢のような絵なのだ。
川が汚れた今となってはカジカの夜突きはもうできない。
つまり本当に夢となった日本の風景が、この二頁に封じ込められている。
それが読者の胸を郷愁でかきむしるのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます