第49話 見せパン(見せるパンツ)

程良い日差しで僕は目覚めた、私服に着替えてる所で階段のきしむ音がした。


「香澄が来たか」


音が止まった所で力強く扉が開く。


「真、出掛けるわよ」


「いやぁ」


下着姿で思わず変な声を出しながら座り込んでしまった。


「ご、ごめんなさい」


香澄が慌てて後ろを向いたので、僕は素早く服を着た。


「ノック位はしようよ」


「うん、それにしても相変わらず大きいわね」


「いちいち偽物に対抗しないで欲しいな」


僕がベッドに腰掛けると、香澄は椅子に腰を降ろした。


「出掛けるって何処へ行くの?」


「今日は下見なんだけど、見せパンよ、見せパン」


「見せパン? 美味しの?」


僕は意味が分からず首をかしげた。


「見せても平気なパンツって事よ」


「それなら体育の短パンで良いのでは?」


「ダメダメ、色気も何も無いじゃない、良いのが有ったらクラスで揃えれば見映えも良く成ると思うのよね」


香澄は何で、こんなに乗り気なんだ?

ここまで来たら断るのも無理だろうし、付き合うしかないかな。


「分かったよ」


僕は香澄を待たせ朝食を済ませると、2人で駅の方へと向かったのだった。



その頃、生徒会室では休み返上で、文化祭の書類に対して向き合っていた。


副会長の圭子が七海に1枚の書類を渡したのである。


「七海、これって2人必要なの?」


「必要、必要、必要なのよ」


と嬉しそうに生徒会長承認の判子をおしたのであった。



駅ビルに着いた僕と香澄は、3階の女性下着売り場の前まで来ていた。


「香澄、僕は下着売り場なんて入った事無いのだけど?」


「別に今の真なら問題無いじゃない」


そう言う問題じゃなーい


「戸惑ってる場合じゃないわよ」


香澄は僕の腕を掴むと、無理やり店内に引っ張り込んだ。


「うわー、派手」


香澄は見せパンを探さず、普通に下着を物色しているでは無いか。


「真なら、どんな下着にグッと来る?」


「履くの? 見るの?」


「ややこしいわね、見る方よ」


「普通に白で良いんじゃないかな」


「履くとしたら?」


「普通に白で良いんじゃないかな」


香澄は、つまらなそうな表情を見せると同時に、見せパンを探し始めたのだった。


「有ったわ、以外と安いのね」


店員の許可を取り何種類か写メで写すと、『よし』と呟いた。


この写メを学校で皆に見せて、どれにするか決めるつもりなのだろう。

僕としては短パンが一番良いと、未だに思っていたのであった。


「所で真は白の下着しか持ってないの?」


「いいや、派手なのは無いけど白だけでは無いよ」


「今度チェックさせてよ」


「良いけど、香澄のもチェックさせて貰うからね」


「やっぱり辞めときましょう」


香澄は恥ずかしそうに、外方を向いてしまったのであった。






































































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