第46話 駆流の悩み
流石の名門校は翌日から、通常授業が始まる。
この席は目立たないし、秋の微風が入り込み温かな日差しで眠く成るのだよな。
まぁ、寝てても注意される事が無いのも、全て成績のお陰だろう。
そんなボーっとしてる時に駆流が相談を持ち掛けて来た。
「真、俺の親父に会ってくれないか?」
なななな、何を言い出してるのだこいつは
「何故私が貴方のお父様に?」
「実は詩音の一件から、付き合う人が出来た時には面会する様に言われててさ」
「七海さんと行けば良いじゃない」
「今、七海を会わせる訳には行かないんだよ、それに余り時間が経つと新しい相手を勝手に決められてしまうし」
「そんな事なら駆流が頼めば幾らでもいるんじゃない?」
「家の親父は古い所が有ってな、言葉使いはもちろん、仕草も女性らしく無くては納得出来ない人なんだよ」
それは知ってるが、僕が駆流の横にいたらお互いに最悪の事態を招くであろう。
特に僕は転校、いや軟禁まで有り得るかも知れない。
駆流には悪いが全力で断らなければ行けない。
「駆流、親公認で付き合いたいと言うのは分かるけど、障害があるのなら2人で乗り越えてからでも良いかと思うけど、勝手に婚約者を決めて来たら家出覚悟で拒否でもすれば、お父様も無茶はしないんじゃ無いのかな?」
流石にカモフラージュだから気にしないで良いよとは言えないよな。
本心から言えば、めでたくゴールインして欲しいのだ。
「ありがとう、いきなり無茶言って悪かった」
「気にしないで良いわよ、でも覚えて置いて、身代わりの恋人になんて成らないからね」
「ああ」
二学期早々これかよ、この先も不安が一杯で仕方が無い僕であった。
帰り道、詩音や華と別れた所で僕は溜息と共に呟いた。
「まともな友達は香澄だけなのかも知れないな」
「何かあったの?」
駆流から親に会って欲しいと言われた事だけを伝えた。
「翔琉はバカね、七海会長と結ばれた途端に真まで手に入れようとは許せない」
「怒ってくれてありがとう、でも内密に頼むね」
「う、うん」
「これ以上巻き込まれて、七海さんと全面戦争にでも成ったら困っちゃうよ」
香澄は納得してくれた様であるが、横浜へ出掛けた時の言葉通り、僕の敵は自分の敵として捉えてくれている。
しかし、僕としても香澄を傷付ける事には巻き込みたく無いのだよな。
香澄は翔琉が2又掛けるのかと勘違いした様だが、説明不足で申し訳無く思う。
「最悪の場合、私が行ってめちゃくちゃにして上げるわ・・・・はははは」
「お願いするよ・・・・はははは」
本気で無いとしても少し元気が出て来たのであった。
家に帰ると直ぐにティータイムの用意がされた。
僕は私服に着替えると席へと着く。
数日間考えてた事があったのだが、初江さんにお願いしてみる事と決めた。
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