2学期

第45話 告白と仲良し下校

始業式前日、生徒会は講堂で式の準備をしていた。


「圭子暫く頼むわね、駆流君は私の手伝いに付い来てくれますか」


「はい」


七海と翔琉は生徒会室に戻って来た。


「何を運べば良いのですか?」


七海は振り返り駆流の手を取ると、胸の高さまで持ち上げる。


「駆流君、本気で私と付き合ってみない?」


「七海会長とですか、俺は嬉しいですけど」


「決まりね年の差はあるけど、私の事は七海と呼んでくれるかな」


「七海さ・・・・七海」


「はい」


2人は講堂へ戻ると明日の準備を再開したのだった。

もちろん2人の変化を、生徒会のメンバー達は直ぐに感じ取ったのは、言うまでも無い事である。


「あーあ、夏休みも終わりか」


「真にしては珍しい事を言うのね」


僕は机の引き出しから1冊の雑誌を取り出すと、香澄に手渡した。


「夏休みに満喫出来る遊び場20選、こんなの読んでたんだ」


「うん、ランドにシー、動物園や水族館とまだまだ行きたい所は有ったんだよね」


「直ぐに冬休みが来るわよ」


「その時は色々付き合ってね」


香澄は笑顔で頷きながら、雑誌を返してきた。



翌日の始業式では異様な雰囲気に包まれていた。

既に殆どの生徒が七海と駆流の関係を知っている様なのである。

何も言わないが詩音の耳にも届いているだろう。



教室では先生が簡単な話を行っている。


僕は小声で駆流に聞いてみた。


「貴方、七海さんとの噂は本当なの?」


「本当だよ」


「良かったじゃない、私なんかより全然素敵な女性だしね」


見た目だけはな、取り敢えず神様に願いは届いた様で、上手く2人が結ばれてくれた。


「しっかりと心を掴んで離しちゃダメだからね」


後はホームランを打って貰うだけだ。


「真は随分と心配してくれるんだな」


「それは、2人がお似合いだと思うからに決まってるでしょう」


僕は美しく微笑んだ。


今考えれば、生徒会のメンバー全員が駆流にアピールしたのって、七海さんの策略だったのでは無いかと思えて来た。

噂も生徒会全体で拡散させたのか?



帰り道では詩音から駆流の話が出て来た。


「駆流さんも随分と無茶な恋をしたものね」


「そうなの?」


僕の言葉に頷くと。


「中々難しい試練が待ってると思う、と言うか上手く行かないでしょうね」


意味は分からなかったが、七海に関しては成功・不成功は関係無いのだよなと、言いかけたのを飲み込んだ。



駆流と七海は一緒に帰っていたのだが、七海を見る人からの視線に戸惑いを感じていた。


「駆流君、スター◯◯クスに寄って行かない?」


「良いですね」



2人は店内に入り注文を済ませると、中央の2人用席に陣取ったのである。

そこでも七海は注目を浴びるが、本人はお構いなしと言うか全く気付かないかの様に無視をしてるのであった。


「私も卒業が近く成って来たわ」


「七海はどうするの?」


「私は内部進学する予定よ、将来の道が決まってるしね」


駆流は気付いた、この先七海と結婚するならば、秋山建設も何とかしなければ成らないのだ、七海が継いだならば、2人だけの時間が無くなってしまうと・・・・























































































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