第42話 父との面会
電車から見える真夏の海は光り輝き、側には大切な人達がいる。
初めてだった旅行、一生の思い出に成るだろう・・・・悪い意味でな。
確かに楽しかった、でもそれ以上に疲れた感が半端無いのだが、自分が慣れて無いせいなのだろうか?
景色が時間と共にコンクリートの世界に変わって行く。
何だか知らないが落ち着きが取り戻せてる気分に成ってくる。
2泊3日の伊豆旅行が終わり数日後、僕と初江さんは東京駅に来ていた。
タクシーに乗り込むと高級ホテルの地下駐車場へと入って行くのであった。
「お待ちしてました」
ホテルの従業員が下車するのを手伝ってくれ、エレベーターで直接スイート・ルームまで案内してくれる。
許可が出ると僕達は中へと入って行く。
「お久しぶりです、父上」
「良く来てくれた、そこへ掛けなさい」
僕がソファーに座ると、初江さんは飲み物の用意を始めだす。
そうである、今回は実の父親に会いに来たのであった。
「調子はどうかね?」
「父上のお陰で外の世界が知れて嬉しい限りです」
「生活に問題は無いか?」
「初江さんを始め、素敵な人達に恵まれて充実した毎日が送れてます」
僕は眼の前に置かれたコーヒーを一口飲んだ。
父は決して僕を虐げてる訳では無い、駆流にかけるのと同じだけ愛情を持ってくれてる。
だからこそ、将来自分が亡き後に子供たちが争いを起こさない様にと、長男である駆流に跡継ぎを確定したいのである。
ある意味で昔気質の人間なのだ、跡は長男が継ぐべしと・・・・
因みに駆流も父上とは同居していない、兄は兄で試練を与えられてるのだと思う。
「真から見ての駆流はどうだ?」
遂に来た、この質問が非常に厄介だと予想していた、出来れば聞いて欲しく無いと思ってた位だ。
「男子・女子共に評判良いですし、成績も上位で生徒会にも入ってる程です」
嘘は言ってない、嘘は言ってないぞ。
「真は高校卒業後の進路は考えているのか?」
「男子に戻るのですから留学して、1から始めたいと思ってますが宜しいですか?」
「考えておこう」
多分許されるだろうな、今後何事もなければの話であればだが。
「初江を呼んで、真は隣で休んでなさい」
僕は一礼して初江さんと入れ替わったのだった。
「ふぅー」
自然と小さな溜息が出た。
父の威圧感は年を取っても健在だったな。
流石、日本でも5本の指に入る財閥を引き継いだ人だ、駆流はあそこまで到達する事が出来るのだろうか
兄の威厳は守った事だし、今回の面会は無事に終わりそうで良かった。
数十分後、父の迎えがやって来た。
とても忙しい方なので、最近では必要以上の触れ合いが無く成ってるのは事実である。
その辺りは少し寂しく感じる所ではあった。
しかし、実際は問題が山積みなんだよな。
七海の可怪しな性質にも手を打たなければ成らない、それには知らないければ行けない事がある様である。
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