第40話 七海の本気と真の屈辱
ここが話の落とし所だろう、話を変えたいし折角の機会なので、駆流に付いて聞いてみよう。
「七海さんは駆流と付き合う気はあるのですか?」
「ええとね」
「もう誤魔かすのは無しにしましょうよ、七海さんの話に私は乗った訳なんですから・・・・それが脅迫まがいでも」
「あら、以外と失礼な事を言うのね」
七海は僕に密着し腰に手を回して耳元に口を近づけて来た。
「それなら私の秘密を教えて上げる」
七海の言葉に僕は少し我慢する事にした、彼女が信頼関係を作りたいなら本当の事を言ってくるかも知れないからだ。
腰に回した手で強く引き寄せられる。
「私はね、男性より可愛い娘の方が好きなの、だから誰と付き合ってもカモフラージュ的な意味でしか無いのよ」
七海の言葉が優しく耳元で響く。
「真ちゃんも薄々気が付いていたんじゃないの?」
「何をですか?」
「貴方もしかして? スマホを出してSOXって検索してみなさい」
僕は七海の言う通りに検索してみた。
「検索できませんね」
「あらー、真ちゃんはクールなだけじゃ無かったのね」
七海の腰に回した左手が更に強く引き寄せつける。
「痛いです」
しかし彼女は僕の言葉を無視し、右手で太ももの辺りを触り始めた。
「止めて貰えませんか?」
このままでは本性が知られてしまいかねない
僕は幼い頃から習った、護身術と逮捕術の技で抜け出す事は出来るが、今は怖くて体が動かない。
「お願いします、止めて貰えませんか」
七海の手は僕の太ももを這って行く、僕は本気で抵抗出来ず七海の腕を掴むので精一杯な状態だ。
「それでは別に駆流で無くても良いのですか?」
「結果的にはそう言う事に成るわ、でも真ちゃんがお願いするなら直ぐにでも付き合っても良いわよ」
確かに駆流は七海を気に入ってる、実の兄を馬鹿にする様な扱いも気に入らない。
しかし、最優先は父上との約束である。
「まさか、私にそんな義理はありませんし、私が七海さんの彼女に成る事もありませんよ、もちろん同性愛を批判してるのでは無いので誤解しないで下さいね」
怖い、怖い・・・・
それでも僕は精一杯強がろうとする。
「キスしてみる?」
耳元で囁く七海から顔をそらした。
「無垢なのね、ますます気に入ったわ」
七海は僕が顔をそらした為、キスは諦めたのか耳を甘噛して来た。
「ああ、いやぁ」
「本当に嫌なの、以外と弱点なんじゃ無い?」
僕は黙って頷いたと同時に、初めての恐怖に自然と涙が出て来た。
「びっくりしちゃったのね、泣かすつもりは無かったのよ」
七海はハンカチを取り出し、僕の目元を拭ってくれる。
それでも太ももに置かれた手は内側まで動いている。
「七海さん、お願いです・・・・」
「分かったわ、代わりに今回だけで良いから、私をお姉様と呼んでくれるかな?」
「七海・・・・お姉様、許して頂けませんか」
「はーい、良く出来ました」
七海が去ると悔しさも交じり、より一層の涙が溢れたのだった。
「早く思い通りに愛でて上げたいわ」
「愛でる?」
「ああ、真ちゃんは知らなくて良いのよ・・・・ふふふふ」
「そろそろ退散するわ、皆が心配するからね」
また夜のBBQで会いましょうと良い残し、嬉しそうに階段を降りて行った。
何だかんだ有ったが、最終的には七海の誤解で一安心だ。
しかし、僕より可愛い娘なんて他に幾らでもいると思うのだが、何か地雷でも踏んでしまったのかな。
七海が卒業するまで約半年、それまで凌げばこの問題は解決する。
「翔琉が一発逆転のホームランで心を射止めてくれないかな・・・・」
僕は独り言を呟くのだった。
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