第35話 七海の襲撃
遂に時がやって来た、遠くから僕を呼ぶ馴染のある声。
「真ちゃん、少し探しちゃったわよ」
いやいや、探すほど人いないだろうと思うのだが。
「七海さん、生徒会の皆さんもこんにちは」
「こんにちはー」
皆がそれぞれ挨拶をして行く、香澄は合流の事を詩音だけで無く華にも伝えたと聞いていたので、こちら側は想定内の範囲である。
生徒会側の反応も特に驚いた様子も無く、事前に知らされていたのだろう。
「駆流君、ハーレムだね・・・・くくくく」
「からかうのは止めて下さいよ、七海会長」
生徒会グループは僕達の真横に癒やしの空間を作り始めた。
「海に行こうよ、海にさ」
華が詩音の手を引っ張り立ち上がらせると、香澄が背中を押して波打ち際の方へと連れて行った。
「真ちゃんは水着に成らないの?」
「着てますけど、今はまだ日差しが強いので休憩です」
「楽しみだな」
何が楽しみなんだか、それにしてもスタイルの良い人だな。
「私達も行きましょう」
そう言うと生徒会の4人はビーチボールを持って、香澄達の方へ走って行った。
まずは何も無さそうで良かった、詩音も駆流の事は完全に気にして無い様だ。
暫く姿の見えなかった里見さんが、ドリンクを沢山持って戻って来る。
「真さん、1本どうぞ」
「ありがとうございます」
僕は貰った健康飲料水の蓋を開け、一口飲むと着てたパーカーと短パンを脱いだ。
「背中は私が塗って差し上げますね」
「助かります」
全身を塗り終えると、浮き輪を持って走り出したのであった。
浮き輪でプカプカ出来るなんて、何年ぶりなんだろうな。
さぞ気持ちが良い事だろう。
僕は詩音達がイルカさんに捕まりながら遊んでる側で、浮き輪に腰を降ろし瞳を閉じた。
極楽極楽・・・・
良い気持ちで浮かんでいると、突然背中がゾワゾワっとした感覚に陥る。
誰かがお尻を撫でる様に触れたのだ。
華だなと思い振り返ると、浮き輪を七海が掴んでいた。
「どうだった?」
耳元で囁かれる。
「悪ふざけは止めて下さいよ」
僕は小声で返した。
再び触れてくる、その度に背中に悪寒が走る。
電車などで痴漢に合うと、こんな感じに成るのだろうか。
僕の両手は浮き輪の上にあるので、お尻までは届かない。
「ふふふふ・・・・真ちゃんは本当に可愛いわね」
「七海さん、本当に止めて」
「どうしようかなぁ」
目を閉じてたせいで流れたのに気が付かず、他の3人とは大分離れてしまっていた、浮き輪から出ようにも七海の掴んでる腕が邪魔で力が入らない。
「真ちゃんって、以外と胸あるのね」
僕は慌てて両手を使い胸の部分を隠した。
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ、2人きりじゃないのだからね」
全然大丈夫じゃなーい
「もう止めましょうよ」
嫌なのは確かなのだが、それよりも非常に恥ずかしく成って来た。
今の七海は、僕の腰に両手を回して一緒に浮かんでいるのである。
「七海さん、お願いやめて皆に見られちゃう」
「真、休憩しよう」
香澄が離れた所から声を掛けてくれたが、香澄からは七海が視界に入って無かった様で、運が良かったと心で安心した。
七海は僕の首筋に軽くキスすると『またね』と言い残し海中へ消えて行った。
「香澄、今行くよ」
慌てて3人のいる方へ足をバタバタとする。
本当に七海の頭の中はどうなってるのだか、相変わらず恐ろしい人だなと再認識した僕である。
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