夏休み

第31話 香澄と気分転換

夏休みに入り2日目、目覚めると目の前に香澄の顔があった。


「うわぁぁ」


「やっと起きた、おはよう」


「ああ、おはよう」


僕は時計を見ると10時過ぎてるのに驚いた。

普段なら土日、祝日でも、この時間には起きてるからだ。

やはり脳内が休まって無いのかな、何か気分転換でもした方が良いのかも知れない。


「ボーっとしてどうしたの?」


「余り寝心地が良く無かったみたいでさ、それで何か用事でも?」


「うーん、夏休みの最初は真と遊ぼうかなと思って来たんだけど、帰った方が良さそうね」


どうしようかな、香澄相手なら気も使わないし気分転換に成るかな。


「大丈夫だよ、何処か遊びに行こう」


「良いの、やったー」


嬉しそうに元気な返事が返って来た。


「下で待ってて直ぐに準備するから」


香澄が出て行くと詩音の事を考えながら着替え始めた。


詩音の心に翔琉はもういない、しかし七海が煽ったりでもしたら傷付くのは当たり前の事

でもこれ以上詩音と僕の距離が近く成るのは非常に危険だし。

ああー、モヤモヤする。



僕は階段を降りると、香澄がそわそわと茶を飲んでる間に朝食を済ませた。


「ごちそうさま」


「気に成ってたのだけど、真はその格好で行くの?」


「うん、今日は晶と言う事でよろしく」


「15分、いや10分で良いから待ってて」


そう言うと香澄は慌てて家を飛び出して行った。


「香澄はどうしたんだ?」


「真さんが男子だから着替え直しに行ったのでしょうね・・・・ふふふふ」


十分似合ってて可愛かったのにな。


「初江さん、因みに真って分からないよね?」


「多分大丈夫だと思いますよ」


約10分後、随分と清楚なお嬢様がやって来た。


「お待たせ、行きましょう」


随分とご機嫌な様だ。


「何処にしようか?」


「・・・・」


香澄が考え込んでしまい沈黙が続く。


「真に任せるわ」


「今日は晶だよ、天気も良いし江の島でも行こうか」


香澄は何度も何度も大きく頷いた。


藤沢まで行き、そこから乗り換えて湘南の海岸を眺めながら話題に華を咲かせた。


「今日の香澄は海に凄く似合ってるよ」


「そうかな、ありがとう」


耳まで赤くして俯いてしまったが、そこまで恥ずかしい事なのか?

本当に似合ってるのにな。


嬉しさ一杯で香澄が俯いてるのを、真は理解していないのであった。



江の島の橋に来た所で、2人は自然と手を繋ぎながら島へと歩き始めた。

天気も良く奇跡的な真の思いつきに、香澄は神へお礼を捧げていた。



島へ着くと人は大勢いるものの、歩くに大変と言う程でも無く店を見ながらゆっくりと登って行く。


「あれ食べない?」


「うん」


僕は名物のせんべいを2枚買うと1枚を香澄に渡した。


パリパリっと良い感じで凄く美味しい。


「美味しいね」


香澄も気に入ってくれた様だ。



展望台まで階段では辛いので、エスカレーターを使い楽して向かう事にする。


きっと凄く綺麗な景色が見えるのだろうと楽しみな僕は、詩音の事を完全に忘れていたのであった。













































































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