第21話 テスト休み2日目

陽が昇るか昇らないかの時間に香澄が僕の布団を剥ぐ。


「何事・・・・?」


「真は今日暇でしょ? この前の約束果して貰おうと思って来たわ」


ああ弁当の時の事か、今日こそはゆっくり休みたかったのだけど、香澄のテンションを見る限り無理そうだな。


「それで何をするのかな?」


「もちろんお出かけよ」


やっぱりか


2枚の映画チケットを出しながら得意げに言う。


「ママに貰ったの見に行くわよ」


「分かったよ、準備するから下で待っててよ」


僕はベッドから出ると香澄に合わせたコーディネートして降りて行った。


「朝食食べる時間はあるのかな?」


「無くても食べなければ行けません」


初江さんが手早く用意したのを頂く。

香澄は既にたべ終わった様で食後のお茶を啜っている。


まてよ、香澄は映画に行くと言ってたな。

映画館=仮眠所と考えれば俄然と行く気が出て来たぞ。



僕達はショッピングモール開店の時間に合わせて家を出たのである。


「所でどんな映画を見るの?」


「ゾンビと悪霊が凶悪殺人鬼と戦う感じの映画だよ」


はいアウトです、香澄は怖い物好きなんだが一人で観る事が出来ない小心者なのである。

家でビデオを見てても映画館で見てても、とても寝れる状態には成れないのだ。


「本当にそう言うの好きだよね」


「うん、真が一緒なら大丈夫。

後ね開始まで2時間あるから夏服でも見て周ろうよ」


今日もウインドウショッピングか、女子って好きだよなぁ


詩音はワンピースなど清楚な物を見てたけど、香澄はニットやパンツ等なんだな、どちらも自分が似合う物を心得てるんだろう。

僕は昔から初江さんに任せっきりで恥ずかしい限りだ。


「映画の時間大丈夫なの?」


「ああ忘れてた、真急ぐわよ」


夢中に成ると大切な事が抜けるのも昔ながらなんだよな。


僕達2人はギリギリで間に合い、空いてる席へと座った。


流石に平日だな、ガラガラの空き空きである。


香澄が僕の手を握って来た、これで眠る準備完了のはずだった。

しかし予想通り、場面場面で香澄の手に力が入り痛くてたまらない。

おまけに寄り添ってる物だから耳元での叫び声で寝れたものでは無い。

結局映画の内容は頭に入らず眠る事も出来ず、モヤモヤした気分で映画館を後にしたのだった。


横浜駅の東口で昼食を済ませ、海が見たいと言う香澄の言葉で海岸の方へと散歩した。


「真、あれに乗ろうよ」


「あれって、シーバスの事?」


「うん、あれで港みらいに行こうよ」


「ええ?」


「何よ嫌なの?」


港みらいって、昨日詩音と行ってるんだよな。


「早くチケット買うわよ」


「あ、うん」


断るにも理由が無いし行くしか無いのか


出航を待つ間、僕の脳裏は詩音の柔らかさと頬にキスされた事を、思い出していたのであった。

































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