第18話 華への愛情弁当

午前中の授業は何事も無く平穏に終わり、昼休みと成った。

何時もと同じ様に机を付けて席に座ると、華に赤い巾着の袋を渡した。


「華、約束のお弁当だけど口に合えば良いな」


「ありがとう」


華は嬉しそうに受け取ると、早速中の弁当箱を取り出した。


「何よそれ、私の分は?」


「これは華が勉強を頑張ってるご褒美だから、香澄のは無いのよ」


これ以上、初江さんに負担を掛けるのも悪いからな、今回は我慢して貰おう。


「このお弁当凄いんだけど・・・・」


華の言葉に僕と香澄も覗き込んだ。


ハンバーグがハートの形で煮物の人参までハート型である。

更にオムライスに掛かってるケチャップは当然ハートだ。

まだある、タコさんウインナーに玉子焼きまでハートの形をしてるでは無いか。


「ありがとう、真の愛情を感じるわ、プリンまで付いてるなんて最高」


ちがーーう、初江さんは何を勘違いしたのだろう。


「真の方は普通なのね」


「流石に手間が掛かるからね」


初江さんがさ


「真」


「何?」


「別に・・・・」


ああ、香澄のこの表情は拗ねてる時に見せるものだ。


昼食を終え香澄が一人の時に事情を話した。


「きっと香澄に渡すと思ったんでは無いかな」


「そっか、初江さんの勘違いも酷いものね」


取り敢えず香澄は納得してくれた様で良かった、嘘なのは心苦しいのだが仕方が無い。


「そう言う訳で、後数日間弁当に関しては目を瞑って欲しい、今度必ず埋め合わせするからさ」


「仕方無いわね、しっかりと埋め合わせして貰うからね」


自業自得なんだろが面倒事がまた一つ増えた様だ。



4日間の居残り自習を終え、僕は華に数枚のプリントを渡した。


「土日は私も復習をしないと行けないから、問題を用意して来たよ」


「週末でこれをやれば良いのね」


僕は頷いた。


「数学は初日だからしっかりとやってね」


「はーい」


「月曜日から頑張ると言う事で帰ろう」


これで華の問題は片付いたと言えるだろう。

週末は自分の為に使う時間が出来そうで良かった。



「ただいま、初江さん迷惑掛けてスミマセンでした」


「構いませんよ、それが私の仕事ですからね」


僕は初江さんを本当の母親だと思っているが、こう言う時は距離を感じる物だ。


「所で最近は父上の様子ってどう?」


「お変わり無く元気でいらっしゃいますよ。

後、真さんに取っては初めての学生生活ですので、多少の我儘とミスはフォローする様に言いつかりました」


「本当にスミマセン、これからも宜しくお願いします」


「分かってますとも真様」


食事と風呂を早めに済ませると、明日から勉強を頑張る為早めにベッドへと入ったのだった。



































































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