第14話 華は赤点候補

酷い・・・・余りにも酷すぎる。


今日は華の部屋で勉強会をしてるのだけど、香澄はまだ平均行くかどうかの辺りなんだが、華の数学は酷すぎて完全に補習の追試レベルだ。


「華は算数の時から苦手だったの?」


「うん」


今日だけでは無理だ、中間テストまで放課後使ってやるしか無い。


「香澄は平均クリアが目標だね」


「がんばる」


2人が問題を解いてる間に自分の復習も行う・・・・中々ハードだ。


そう言えば、部屋に入った時も感じたけど華の部屋は良い香りがする。

色合いだってピンク系統でまさに女子の部屋代表と言った所。

実際は華以外の部屋を知らないから偉そうな事は言えないんだけどな。


「うわーー、もう無理」


先に音を上げたのは華だった。


「少し休憩しようよ」


「私も丁度切りが良いから休憩しようかな」


香澄がペンを机に置いた。


「真、疲れたから癒やしてよー」


そう言うと華は僕の膝の上へ頭を置いた。


「華、ずるいわよ」


何故香澄が対抗するんだろうか?


「癒やすってこのままじっとしてれば良いの?」


少しでもリフレッシュさせて頑張って貰わなければ、この時間が報われない。

頭を撫で始めると、瞳を閉じて喉でも鳴らしそうな表情に変わったのである。


「もう15分も経ってるし、そろそろ再開しようよ」


「うーんと、やっぱり真のは大きいね、下からだと良く分かるわ」


そうセクハラな言葉を発しながら人差し指で僕の胸を突く。


「さらに柔らかいなんて、揉んでも良い?」


「ダメよ、早く勉強始めないと帰るわよ」


「分かった、直ぐに始める」


華は再び数学の難問に向かい合ったのである。

香澄の方も難問にでも当たったのだろうか、しかめっ面して機嫌悪そうにペンを指で回している。


「香澄、何か分からない所でもあるの?」


香澄が差し出したノートにはdon't leave me alone too muchと書かれていた。


「ははは、香澄は英語をやっていたんだね」


私を放置しないでと言う意味の英文は偶然なんだろうか・・・・きっと違うよな。

3人揃うと距離感が難しい時が有って困る。



外も暗く成って来た所で香澄が片付け始めたので、今日はここまでにしとこうと言う事と成った。


「華は、ここと隣のページの問題を明日までにやって来る事」


「はーい」


「香澄は一通りテスト範囲をやってから、苦手な部分を洗い出そうかね」


「うん」


「それではおやすみ」


「また明日ね」


「2人共気をつけてね」


僕と香澄は華の家を後にしたのである。


「華って昔から算数が苦手だったの?」


「そんなイメージ無かったけどな、算数と数学では一気に変わるからついて行けてないんじゃ無い?」


「放課後も少し使わないと間に合わなそうだから、香澄も宜しく」


「ひ、暇な時はね」


拗ねた表情を見せる香澄がさり気なく手を繋いで来る。


「ちょ」


「膝枕出来なかったのだし、これ位構わないわよね?」


「う、うん」


根に持っていたのかよ・・・・












































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