第9話 駆流の呼び出し

翌日、下駄箱を開けると1通の封筒が入っていた。


裏には西条駆流と書いてある、わざわざ何事かな?

自分の席でコッソリ開いて見ると、駆流から放課後に話があると言う内容である。


昨日は詩音で今日は駆流か、あの2人は案外上手く付き合えて無いのかも知れない。



あっと言う間の放課後、僕は手紙に書かれてた待ち合わせ場所の屋上へとやって来た。


「お待たせ駆流」


「突然呼び出して悪かったね」


「構わないけど、詩音と何かあったの?」


「詩音は関係なくて生徒会の話なんだ」


「そっちの話ですか」


要は僕の勧誘を頼まれた訳だ。


「会長がどうしても来て欲しいと言っててさ、俺の顔を立てると思って何とかお願い出来ないかな、何でも言う事聞くから是非頼む」


「それなら詩音さんと別れられます?」


「・・・・」


「話は終わりですね、帰ります」


「待ってくれ、詩音と分かれたら真が俺と付き合ってくれるかい?」


「私は男子に興味が無いんですよ、今の話は冗談ですから会長さんにはお断りしといて下さい」


そう言い残し僕は屋上を後にした。


駆流と詩音の仲は余り良い感じじゃないみたいだ、詩音が不安に成るのも分かる。

あんなにあっさりと許嫁を切り捨てようとするとはな

更に問題なのはこれ以上僕に興味を持たない様にしなければ行けないと言う事だ。

また面倒事が増えそうな予感がしてならない。



教室へ戻ると香澄が僕の席に座っていた。


「香澄」


「やっと戻って来た、駆流君と教室を出て行ったでしょ、何の話だったの?」


「ああ見てたんだね、会長に頼まれたとかで生徒会への誘いだよ」


「会長さんはまだ諦めて無いんだ」


「本当に困ったもんさ、待たせて悪かったね帰ろうか」


「うん」


僕は鞄を手に取ると香澄の後に続き教室を後にした。


「真は今日暇でしょ?」


「暇だけど?」


「それならバストマッサージお願いね」


「それって香澄のおばさんとか、女友達に頼めないのか?」


「ダメよ、内緒でやってる事だし、そんな事してるの知られたら笑い者にされるのが落ちだわ」


「僕なら構わないんだ」


「真は優しいからね」


優しいか、そうでも無いんだけどな


家の近くまで来ると香澄が走りだす。


「着替えたら直ぐに行くからね」


「うん」


隣同士なので本当に直ぐやって来るのだ。


僕が玄関を開けると初江さんが出迎えてくれる。


「おかえりなさい」


「ただいま、直ぐに香澄が来ると思う、僕は先に着替えて来るよ」


「分かりました、香澄さんの分も用意します」


これはおやつの話である、常に手作りの美味しい物で香澄も大好物なのである。


着替えを済ませ居間へ入ると案の定、既に香澄が紅茶を啜っていた。


「本当に早いな」


「えへへへへ」


僕も席に座ると出された紅茶のカップを手に取ったのだった。

























































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