第8話 放課後の寄り道

終業のホームルームが終わると、駆流は手早く教科書類を鞄に詰め込み席を立った。


「詩音悪いね、生徒会に行ってくるよ」


「頑張って下さい」


僕達3人も教室を出ようとした所で華が詩音に声を掛けた。


「これから皆で遊びに行くのだけど、良ければ詩音さんも一緒に行きませんか?」


「私も良いのですか?」


詩音は今まで見せた事のない満面な笑みを見せながら駆け寄って来た。



一方生徒会室では、丁度一通りの自己紹介を済ませた所である。


「続いて本日の議題ですが、来週に行われる各部の予算会議についてです」


「圭子副会長少し良いですか?」


「何でしょうか七海会長」


「駆流君の隣の娘を何とか誘い込んで欲しいんだけどな」


「七海会長はまだ諦めてないんですね」


「あの娘はかなりの優良物件よ、駆流君と同等ね」


これは駆流の気を悪くさせない為の方便だった。


「駆流君ってイケメンよね」


七海がニヤニヤしながら目で何かを訴えるのだった。

翔琉は意味を直ぐに理解した様で即座に拒否する。


「私のもっとうはね、使えるものは何でも使うなのよ」


「仕方が有りませんね、説得してみます」


「ありがとう、助かるわ」



その頃、僕達は大型商業施設に訪れていた。


「何からみようか」


華が率先して先頭を歩き始める。


「私は夏服がみたいな、特に真のを選んで上げたいかも」


「華、何故私の?」


「だって真って可愛いんだもん」


変な物を選ばなければ良いのだけど、華の趣味ってどうなんだろう


「真さんは人気者なのですね」


「詩音さんだって許嫁がいるにも関わらず人気者ですよね」


真は詩音の言葉の意味を取り違えていたのであった



上から下まで一周りして少しの自由時間と成った。


「真さん、何か買いたい物はありましたか?」


「特には無いかな」


「それなら少しお話をしませんか?」


「いいですよ、そこのベンチに座りましょう」


並んで座ると暫くの沈黙が続いた。


「あのぅ、詩音さん?」


詩音が真剣な顔つきで僕を見つめると、口を開き始めたのである。


「はっきりと伺いますね、真さんは駆流さんを男性として、どの様に思ってますか?」


「そうですね、興味は無いですね」


僕が笑顔で答えると詩音はホッとした表情を見せた。


「最初は真さんの頭の良さを褒めてた程度だったのですが、最近では女性らしい仕草や表情まで口にする様に成って来たので心配に成ってしまって、変な事を聞いて済みませんでした」


「詩音さんは素敵な女子だと思いますよ、自信を持って駆流君を手放さない様に頑張って」


「はい」


びっくりしたな、翔琉が僕をなんて想像もしたく無いもんだ、何としても詩音には頑張って貰わないと行けない。


その後合流した4人はファストフードに寄って解散したのだった。












































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