第7話 生徒会はお断り
入学式から1周間たった昼休み、2人の上級生が教室に訪れて来た。
一人は綺麗な黒紙を背中まで伸ばし、目鼻立ちの整った学園のアイドルである生徒会長である。
隣に立つのはオシャレな眼鏡が似合う可愛い感じの副会長だ。
生徒会長は皆が注目する中臆する事無く口を開く。
「私は生徒会長の秋山七海(あきやまななみ)です。
このクラスに諏訪真さんと言う方がいらっしゃると思うのですが?」
教室中の視線が僕に注目すると、2人の生徒会員は机の前まで歩み寄って来た。
「貴方が諏訪さんかしら?」
「そうです」
「今年の入試試験を満点首席で合格したそうね」
「そうだったんですね、知らなかったです」
僕は敢えてとぼけてみた。
この2人がわざわざ来ると言う事は生徒会への勧誘か?
ただでさえ面倒な生活を送っているのに、断るしか無いな。
「生徒会代表の二方が来ると言う事は勧誘ですか?」
「流石に頭の回転が早いのね、生徒会は貴方を書記として向かえたいと思ってます」
「残念ですがお断りします」
眼の前の二人は一瞬唖然とした表情を浮かべた。
「生徒会には興味が無いのかしら?」
「人の上に立つ器では無いんですよ、数少ない友達を大事にするので精一杯でして、すみません」
「そうですか、そう言う理由なら仕方がありませんね」
「先輩、因みに隣の彼も成績は優秀だったと聞いてますよ」
「貴方のお名前は?」
「西条駆流と言います」
「生徒会に入って貰えるのは嬉しいのだけど、うちは女子ばかりしかいないので肩身が狭い思いするかも知れないのよね」
終始詩音が不安そうな顔で駆流を見つめている。
「彼は西条グループの御曹司ですし、隣に許嫁の娘がいるので問題は無いのではと思いますが?」
僕はここぞとばかりに駆流を売り込んだ、もちろん詩音のフォローも忘れてない。
駆流には僕なんかより、多くの経験をして貰いたい。
決して自分が面倒だからなどでは無いのである。
「西条君、お願いできますか?」
「僕なんかで宜しければお力に成ります」
「ありがとう、放課後生徒会室まで来て下さいね」
2人は教室を後にして行った。
「駆流、何だか押し付けたみたいでゴメンね」
「気にしないで良いよ、人には向き不向きが有るし、僕は意外と人の上に立つのは好きな方だからね」
「真こそ上級生相手に自分の意見をはっきり言えるのは凄いと思うよ」
1週間立った今では自然とお互を名前で呼び合う仲に成っていた
翔琉が詩音と話し始めると前の席に座る華が振り向き話し掛けて来る。
「ねぇねぇ、私達ってもう友達なのかな?」
「私はそう思ってるよ」
「それなら今日一緒に寄り道して帰らない?」
「いいよ」
僕は笑顔で即答したのであった。
友達と寄り道なんて初めてだ、何をするのか今から楽しみに成って来る
「決まりね、香澄も誘って行こうね」
「うん」
そこで丁度昼休みが終わるチャイムが鳴ったのであった。
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