第3話 クラスメートに自己紹介

香澄に連れられ1年1組とプレートの掛かる教室へ入ると、今まで見たこと無い沢山の女子達が、同じセーラー服を着てるのに驚いたのである。


「これ全部同級生なの?」


「そうだよ、真は初めてだから驚くのも仕方が無いね」


教室には数多くの机と椅子が配置され、皆それぞれの席へと腰をおろして行く


「私は何処に座れば良いの?」


「少し待ってて」


そう言うと香澄は黒板の張り紙を見に行くと、窓側の一番後ろにある机に手をついた。


「ここが真の席だよ」


「ありがとう」


一番後ろか、慣れない間は丁度良い席かも知れないな。


窓を開けると春の爽やかな風が舞い込み、真の肩まで伸びた髪を穏やかになびかせた。

この光景を見ていた香澄は勿論、男女問わず見惚れてしまう位絵に成っていたのである。


チャイムが鳴ると全員が着席し担任の教師が入ってくる。


「みなさん入学おめでとうございます。

1年間このクラスを受け持つ梅田希美(うめだのぞみ)です、宜しくお願いしますね」


20代後半といった所だろうか、初江さんよりは若く見える。

顔立ちにスタイルも良さそうだし生徒からも人気が有るんだろうなと思える。


「今日は各自の自己紹介をして終了とします、では廊下側の君からお願いします」


「はい、名前は・・・・」


順番に自己紹介が進んで行く中、隣の男子が話し掛けてきた。


「隣同士に成ったのも何かの縁だし、久しい友人に成ってくれないだろうか?」


「はぁ、まだ貴方の名前さえ知らないんですけど」


「僕の名は」


「次の方、隣の娘と話してる貴方のばんですよ」


隣の男子が立ち上がった


「これは失礼しました、僕は西条駆流と言います。

因みに父はここの理事場です」


ショック・・・・彼が駆流なのか、随分とイケメンに育ったものだ、金持ちだしモテそうだ。


「貴方が西条君ね、入試の成績は上位で凄く優秀だと先生方の間で評判よ」


次は私の番だ。


「私は諏訪真です、以上」


「諏訪真さんね、入試全問正解の首席で合格した方ですね」


クラス全員の視線が私に注がれる、あまり良い気分では無い。


「君はその美貌で頭脳も優秀なんだね、是非お近づきに成りたいものだ」


翔琉は入学早々何を言ってるのだろうか、どんな教育を受けて来たんだ?


「五十嵐華(いがらしはな)です。沢山の友達を作りたいです、女の子限定でね」


私の前の娘も少し変わった様な娘に思えるのは気のせいだろうか?


それから数分で全員の自己紹介が済んだのである。


「全員終わりましたね、何か質問がなければ解散としますが宜しいですか?」


そこへ一人の生徒が手を上げた。


「先生勝手ですがお願いがあります」


「えーと、一色詩音(いっしきしおん)さんですね、話してみて下さい」


「私にはとても重要な事で、席替えを希望します」


目が悪くて黒板が見えないのか?



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