第2話 香澄のお迎え

あれから一週間、いよいよ入学式の日がやって来た。


「真さん、制服お似合いですよ」


「スカート短すぎない?」


「今時のJCはそんなもんです」


「JC?」


「女子中学生と言う事です」


「へえー」


他愛の無い話をしてると玄関のチャイムが鳴った。



「きっと香澄さんですね」


「香澄も同じ学校を受けてたとはね、驚きだよ」


「すみません、以前に真さんの今後を聞かれた時に教えて差し上げました」


「別に気にしてないよ」


初江さんは父上から僕が中学に通う事を前もって聞かされていたんだな。



僕は玄関の扉を開けると、満面の笑みで迎える香澄に「おはよう」と挨拶をした。


「真は今日も綺麗で可愛いね」


「ありがとう」


こう言われると凄く複雑な気持ちに成るが、香澄も悪気があって言ってるので無い事は分かるので、何ともしようがないのである。


人間の本性なんて分からないものだが、少なくとも僕の前では裏表の無い明るい娘、それが香澄である。


並んで歩いてると香澄の視線が気になって仕方がない。


「香澄、どうした?」


「うーん・・・・その胸って偽物よね」


「精巧に出来てる偽物だよ」


「何故私より大きくしたのかな、当て付けのつもり?」


「そんな事無いよ、全体のバランスだよバランス」


「何だか悔しいわ」


そう言うと香澄は僕の胸に手を伸ばして来た。


「人のいる道端で何するつもり」


「避けるな、少し位良いじゃない」


「ダメダメ」


全く何を考えているんだか


「因みになんだけど、下はどうしてるの?」


「下?」


「ほら、男の人にはあれが付いてるじゃない」


「うわ、香澄のエッチ」


「違うの!ちょっと気に成っただけで他意はないの」


「ええとね実は・・・・」


「やっぱり良いわ言わないで」


香澄は頬を赤く染めながら早足で歩き始めた。


別にコスプレ用の女装パンツを履いてるだけなんだけど、何を恥ずかしがっているのだろうか



僕たちは正門を潜ると前を歩く生徒達に続き講堂へ向かい、長い長い入学式に参加したのだった。


式辞では香澄も暇そうに俯いて指遊びしていたが、僕にとっては新鮮でわくわくさせる有意義な時間に成ったのは間違い無いのである。


「入学式は以上と成ります、新入生の皆様は後方掲示板で自分のクラスを確認して移動をお願いします」


「はぁ、やっと終わったね」


香澄は大きな伸びをすると、僕の手を取り後方の掲示板へ向い始めたのであった。


やはり父上は参加しないのか、理事長らしい事はしてるんだろうか疑問に思えて来た。

その癖、きっと駆流とは同じクラスに成るのだろう。

凄く簡単な予想が出来てしまう。

















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