男の娘の僕に結婚相手は見つかるのだろうか?

月のうさぎ

中等部1年

1学期

第1話 僕は男の娘

「真(まこと)よ久しぶりだな。」


「はい父上、今日はどのような御用ですか?」


眼の前に座る白髪の威厳ある老人は紅茶の入ったカップを置くと、僕を見つめ淡々と話し始めた。


「後6年だ、6年で翔琉(かける)が正式に西条グループの跡取りとして襲名する。」


翔琉と言うのは僕の兄である。


「それまでの間、真には男である事を知られない様にして貰いたい。」


「承知してます、内部の分裂を巻き起こさな為ですよね。」


白髪の老人は黙って頷いた。


「お前には不憫をかけて済まないと思っている、学校にも通わせる事も出来ず・・・・すまない。」


「気にしないで下さい、その分勉学にスポーツ、各種の習い事と沢山の経験をさせて貰いました。」


「そうか、しかし中学からは通って貰おうと思っている。」


「本当ですか、僕にも友達が沢山出来るのですね。」


「ああ、翔琉も一緒だがな。」


「駆流兄さんもですか。」


「そうだ、6年間駆流の側に居てみてくれ。」


素行調査でもさせる気なのだろうか、もし資格が無いと成ったら、将来は自由に好きな事をして暮らしたいんだがなぁ


「最後に6年間の間に婚約者を作るんだ。」


「え・・・・。」


「私みたいに年取ってから子供を授かるのは良く無いからな、これは絶対だぞ」


「分かりました」


父は紅茶を飲み干すと部屋を出て行った。


相変わらず自分の要件だけすませて満足するのか、5年ぶりの再開だと言うのに。

しかし、学校へ通えるのは嬉しい事であるが、男である事がバレないかと翔琉がいる事が不安に思えて仕方が無い。


「駆流は僕の事を知らないし気を付ければ何とか成るか」


「真さん僕なんて言葉使い、これからは駄目ですよ」


「あ、初江さん、父上は?」


「お帰りに成りました」


諏訪初江(すわはつえ)僕が生まれた時から専属のメイドを努めてくれてる人だ、今は母親代わりでもある。

それ故、僕の名前も西条では無く、諏訪真(すわまこと)と言う事に成っている。


「真さんも来月には学生ですか、良かったですね」


「ありがとう、学校には興味があったから楽しみだよ」


「今まで友達と言える方は香澄さんしかいませんでしたからね」


三宅香澄(みやけかすみ)友達と言うか幼馴染である、以前彼女の家の庭で土遊びをしていて、汚れたので風呂を借りた時に乱入して来た娘だ。

父と初江さん以外で男だと知っている、ただ1人の人物である。

幸い彼女は詳しい事も聞かず秘密を守ってくれている。


ともあれ来週の入学式が待ち遠しくて仕方が無い。


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