(3)

ついに待ちに待ったその日。

杏柚実は奮闘していた。


「詩暮〜!!制服に着替えてないで準備手伝ってよ〜!!」


「ごめん。学校行ってくるわ」

詩暮はMu’sの大ファンでもなければ、ファンでも無いので杏柚実に抱きつかれても呼び止められても学校に行った。


「もー!詩暮ったら!…あ、じゃあ、凪ちゃん!!」

杏柚実はおそらく凪は自分と同じく準備しているだろうと電話をかけた。

すると予想外の言葉が飛んできた。


『私、今日ギリギリまで学校残るんで、電話かけてこないでください』


そうあっさり言われ、杏柚実はやけになり、茉里明にかけた。


『今私忙しいの!あなた手伝ってる暇があればグッズを買いにいくわ!』


凪とは違い、Mu’sを思って怒っているんだと思ったら安心して、それなら全員にかけちゃおという結果になった。


「莉亜ちゃーん!今忙しい??」


『大丈夫ですよ〜!!私最近ファンになったばかりなので準備する事少なくて!!』


「じゃあ準備手伝ってもらってもいい??」


『了解です!』



「愛海ちゃん!!準備どんな感じ〜?」


『今髪の毛整えてて〜間に合うか不安です〜!』



結局、莉亜だけが家に来れることになった。

杏柚実はそのままライブ会場に行くから準備は全部持ってきてねと伝え、自分でケーキなどを買ってき二人で食べた。


「少し聞かせていただきますが、親御様は…?」


「そんな敬語じゃ無くて良いって、同級生だし?親はちょっと色々あってね、」


「そうなんでしたか、」

そうなんでしたか、?そうなんですかじゃなくて、?

と、頭の中で考え少し笑ってしまった。



色々していたら出発の時間まで残り2時間程となっていた。


「莉亜ちゃんのおかげでいつもより早く終わったよ〜!ありがと〜!」


と、丁度お礼を言った時、インターホンが鳴った。

優樹だった。


杏柚実が一人で大丈夫なのか心配になって早退したそうだ。

杏柚実は深々とお礼をし、念のため多めに買っておいたケーキを出した。


「俺ケーキ今食べない。杏柚実が夜食べ。」


この言葉の意味がわかった莉亜は、優樹と杏柚実がどれほど仲が良くて「、お互いの事情を知っているのかがわかった。


(幼馴染って恐ろしいな)


同時にそう思ってしまった莉亜であった。

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世界一推しを愛してる宮ヶ崎さん 有茶川みるく @miruku387

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